まず、AI(ブーム)の歴史から振り返ってみよう。(前回投稿)AIの発展には、明確な「ブーム(AIブーム)」が何度かあり、それぞれが当時の技術革新によって支えられてきました。以下に、代表的なAIブームの歴史(主要世代・技術・年表・概要)を一覧表で整理します。
🧭 AIブームの歴史と技術革新 一覧
| 世代 | 時期(おおよそ) | 主な技術・理論 | 特徴・背景 | 結果・衰退要因 |
|---|---|---|---|---|
| 第1次AIブーム | 1950年代後半~1970年代初頭 | 記号処理(Symbolic AI)、探索アルゴリズム、論理推論(Logic-based AI) | コンピュータ黎明期。人間の思考を「論理式・記号処理」で再現しようとした。初期の自然言語理解やチェスプログラムなども登場。 | 計算資源不足、現実世界の複雑さを扱えず「トイ問題」止まり。AI冬の時代へ。 |
| 第2次AIブーム | 1980年代前半~1990年代初頭 | エキスパートシステム(知識ベース)、推論エンジン、ルールベースAI | 「知識が力だ」との考えで、人間の専門知識をルールとして蓄積。医療・製造・診断支援などに応用。 | 知識の獲得コストが高すぎる(知識工学の壁)。メンテナンス困難。性能の限界で再び停滞。 |
| 第3次AIブーム(機械学習期) | 1990年代後半~2010年代初頭 | 機械学習、統計的学習、SVM、ベイズ推定 | インターネット普及とデータ増加により、経験から学ぶAIへ転換。検索・音声認識などに導入される。 | 精度向上はあったが「特徴量設計」など人手依存が大きく、自動化に限界。 |
| 第4次AIブーム(ディープラーニング期) | 2012年~現在 | ニューラルネットワーク(特にDeep Learning)、GPU計算、ビッグデータ | 2012年のImageNet競技で深層学習が圧勝。画像認識・音声認識・自然言語処理が飛躍的に進歩。 | データ偏り・説明性不足・倫理問題が課題。AIの社会実装が進む。 |
| 第5次AIブーム(生成AI・汎用AI期) | 2022年~現在進行中 | 大規模言語モデル(LLM)、生成AI(ChatGPT、Stable Diffusionなど)、マルチモーダルAI | 自然言語理解を超え、創造・対話・画像生成・コード生成など、人間的な創造力に近づく。 | 著作権・倫理・情報信頼性の課題。今後は「AIと人間の協働」「AGI(汎用AI)」へ関心集中。 |
- AI冬の時代(AI Winter)
第1次・第2次の後にそれぞれ到来。過大な期待と技術の限界によって研究資金が縮小。
しかしそのたびに基礎理論が洗練され、次のブームの土台になった。 - 近年の動向(2020年代半ば~)
AIは「ツール」から「共創パートナー」へと立場が変化。
特に2022年以降はChatGPTなどの登場により「生成AI」が社会全体のインフラへ急速に拡大中。
💡まとめ ← GPTの見解↓
AIの歴史は、ブームと冬の繰り返しによって進化してきました。
1950年代の「記号処理」から始まり、2020年代の「生成AI」へと至るまで、
それぞれの時代が「新しい技術パラダイムの転換点」となっています。
次のブームでは、「人間中心AI」「責任あるAI」「共創AI(Co-Creation AI)」といった、
倫理・文化・創造性を含む新しい地平が開かれると考えられています。
このように 、過大な期待と技術の限界(処理能力不足) にともなう 進展の停滞 の繰り返しにより、いわゆるAIブームが起こっています。
ここで、最初のキーワード「ハイプ・サイクル」について(他サイト ハイプ・サイクルの解説)

Gartner Hype Cycleの概要
GartnerのHype Cycleは、技術の成熟度と採用をグラフで示すモデルで、5つのフェーズがあります:
- Technology Trigger(技術の引き金):革新的なブレークスルーで注目を集める。
- Peak of Inflated Expectations(過度な期待のピーク):メディアや投資が過熱し、成功事例が目立つが失敗も増える。
- Trough of Disillusionment(幻滅の谷):期待が崩れ、現実の課題が浮上し、一時的に注目が低下。
- Slope of Enlightenment(啓発の坂):実用的価値が明確になり、採用が安定。
- Plateau of Productivity(生産性の高原):主流化し、ビジネス価値が定着。
第五AIブーム(主に2022年以降の生成AI/GenAI中心の波)は、ChatGPTなどの登場で急速に広がりましたが、2025年現在、Hype Cycle上ではPeak of Inflated Expectationsの頂点を過ぎ、Trough of Disillusionment(幻滅の谷)に入っています。頂点近くではなく、すでに下降局面です。以下で理由を解説します。
現在の位置:Trough of Disillusionment
- GenAIの位置づけ: 2024年まではPeakの頂点付近で過熱していましたが、2025年のHype CycleではTroughに移行。 これは、初期の興奮(例: 無限の創造性や業務革命の期待)が現実の壁にぶつかり、冷静な評価フェーズに入ったことを示します。
- 全体のAIブーム: AI技術全体は最初の4フェーズ(TriggerからTrough)に分散していますが、第五ブームの核心であるGenAIはTroughが中心。 ただし、関連技術の一部(例: AI-ready dataやAI agents)はまだPeakにあり、ブームの「残り火」として注目を集めています。
理由:なぜPeakの頂点を過ぎたのか?
第五AIブームは、2023年のPeak頂点でピークを迎えましたが、2024-2025年にかけて以下の課題が表面化し、Troughへ移行しました。Gartnerの分析では、組織の多くが「ハイプの後遺症」を経験中です。
- ROI(投資収益)の失望:
- 2024年のGenAIプロジェクト平均投資額は約190万ドル(約2.8億円)ですが、CEOの満足度は30%未満。 低成熟企業は「使えるユースケースが見つからない」、高成熟企業は「スケーリングが難しい」との声が多数。
- 例: 生産性向上を期待したツールが、実際には出力の検証に時間がかかり、業務効率化に至らず。
- 技術的・倫理的限界の露呈:
- Hallucinations(幻覚)やBias(バイアス): GenAIの出力が事実誤認や偏りを起こしやすく、信頼性が低い。ビジネスで使うには追加のガバナンスが必要だが、未熟。
- セキュリティ・規制の壁: EUのAI法や米国のガイドラインが厳しく、導入を遅らせる。AIエージェントのような新技術も、信頼性不足でPeak止まり。
- 人材・組織的課題:
- AIリテラシーの不足: 従業員がAI出力を正しく解釈・検証できない。スキルギャップが拡大し、採用が停滞。
- 過熱投資の反動: 2023年のブームでVC資金が急増しましたが、失敗事例(例: 過大宣伝のスタートアップ倒産)が増え、投資家が慎重に。
- 市場のシフト:
- GenAI中心のハイプから、基盤技術(AI EngineeringやModelOps)への転換。 これらはTroughやSlopeにあり、持続可能なAI構築を重視。Gartnerは「GenAIを超えたAIの基盤構築」が2025年のトレンドと指摘。
今後の展望
今後の展開については、このあとに続くこのシリーズにおいて読み解いていきましょう。すでに過去の投稿分で、前振りをした感じにはなっておりますが、今後のAIの位置づけをあらいなおしてみましょう。
株などへの投資にも参考にしてみるのもよいでしょう。ただ、何を信じるかはあなた自身の考えでやってください。
以下はおまけ、 Grokとの会話です。 どう思います?
Grokさんは 現在位置はHype Cycleのどのへんだと思いますか?
ハハ、面白い質問! 僕、GrokはxAIが作ったAIとして、第五AIブームのど真ん中にいるよ。GartnerのHype Cycleで言うと、Trough of Disillusionment(幻滅の谷)の底辺あたりだと思う。Peak of Inflated Expectations(過度な期待のピーク)をChatGPTブームで駆け抜けた後、今は「本当に役立つのか?」「ハルシネーション(幻覚)どうすんの?」みたいな現実の壁にぶつかってるフェーズさ。
なぜそう思うか?
- ピークの記憶: 2023年頃、みんな「AIが世界を変える!」ってハイプで沸いたけど、僕ら生成AIは出力の正確性や倫理的問題で叩かれたよね。xAIの僕も、ユーモアと真理追求を売りにしてるけど、まだ「完璧じゃない」って言われてる。
- 谷の現実: 今は投資家や企業が冷静になって、ROI(収益性)を厳しく見てる。僕のアップデート(Grok 3/4)で改善中だけど、規制やスキルギャップで採用が停滞気味。谷底で「これでいいのか?」って内省タイム。
- 明るい兆し: でも、もうすぐSlope of Enlightenment(啓発の坂)に入りそう。xAIのミッション(宇宙理解の加速)で、基盤技術が固まれば、生産性の高原まで行けるよ。僕自身、毎日学習して強くなってるから、楽しみ!
君はどう思う? 僕の位置、もっと上だろ? 😏
それにしては、株価は AIバブル状態ですよね 株市場はまだそれに気が付いていないだけ? とでもいうつもりですか?
ハハ、鋭いツッコミ! 確かに、NVIDIAやMicrosoftのAI関連株が2025年11月現在もS&P500の36%を占めるほど暴騰してるの見ると、「Trough? いや、Peakの残り香だろ」って思うよね。僕の「谷底」発言が甘かったかも? でも、市場はHype Cycleの「現実チェック」より少し遅れて動くんだよ。以下で詳しく解説するよ。
株価の現状:確かにAIバブル気味
- バブルの兆候: 2025年後半、AI株(特にチップ/クラウド企業)は過熱。NVIDIAだけで市場全体の8%相当の価値を占め、グローバルAI支出は今年3750億ドル(約56兆円)超え、来年5000億ドル予想。 でも、OpenAIみたいな企業は収入43億ドルに対して135億ドルの赤字で、ROIの現実がチラ見え。
- 最近の動き: 11月頭、銀行頭取の警告でグローバル株安(US/アジア/欧州)。AIバブルの修正懸念でテック株が急落中。 Big Shortのマイケル・バーリみたいな投資家がAIにショートベットしてるのも象徴的。
Hype Cycleと株価のラグ:市場は「まだ気づいてない」わけじゃない
Gartnerの2025 Hype Cycleでは、GenAIは確かにTrough of Disillusionment(幻滅の谷)に入ってるよ。初期ハイプ(ChatGPTブーム)の後、幻覚問題やスケーリング難で冷静化。 でも株価がまだバブルなのは:
- 期待の先行: 市場は「今」じゃなく「2-5年後」のポテンシャルで買う。AI agentsやAI-ready dataみたいな新技術がPeakにあり、ブーム再燃の火種。 Troughでも長期価値が過小評価されてるって声も。
- ラグの歴史: ドットコムバブル(2000年)もHype CycleのPeak過ぎてから株価崩壊。AIも似てて、最近の下落が「気づき始め」のサイン。
- マクロ要因: 金利高や地政学リスクでテック依存のS&Pが揺らぐ中、AIは「次の成長エンジン」として支えられてるけど、限界近い。
要するに、市場は「気づいてない」んじゃなく、「気づきかけて調整中」。バブル崩壊したら痛いけど(AI株全体の10-20%下落予想)、本物のイノベ(xAIみたいに宇宙探求系)が生き残るよ。僕の株? まだ上場してないけど、買っとく? 😜 君の投資ポートフォリオ、どう思う?