パワコン?謎の消費電力増加 その4

以前のパワコン消費電力についての解析をもうすこし越し掘り下げてみます。すべての時刻 について”昼間から夜間の消費電力に切り替わる時刻がどのように推移するか”を最新のデータでプロットしなおしてみます。

やはり同じような傾向を示しています。日ごとに一定割合での減少と、2月5日の階段状の増加の2つの変化が見られます。

朝方と夕方のデータそれぞれのデータのみをプロットしなおします。

朝方については、これまでに解析した通り、夜間から昼間の消費電力に切り替わる時刻は変化していません。6時のデータ(6:00から7:00の合計)と前後の時間のデータが比率計算で、ほぼAM6:20に切り替わっていると判断できます。
また、2月5日前後で、昼間の消費電力が変わっていないことから、2月5日に発生した階段状の増加は、夜間の部分にのみ発生していることがわかります。

夕方については、毎日約1分ずつ遅い時間に切り替わるように変化しているように見えます。5月2日時点では19:20ころと推測されます。
5月1日と5月2日の日没時刻はそれぞれ18:52と18:53なので、夜間モードに切り替わるのは妥当な感じの時刻で、、毎日約1分ずつ遅い時間にずれているもの妥当言えます。発電量が下がったからパワコンが買電力から電力消費していると仮説を立てた場合は、パワコンの表示は18:50頃には0.0となっており19:20の時点では真っ暗です。このため、この時刻で発電量起因で切り替わっていることになり、妥当とは言えません。また、サイト2とサイト1のパワコンの動作に大きな差はないと判断して、5月1日の19時ころのサイト1のパワコン表示を確認した結果、”KP44M-J4-SS”は、19:10から19:15の間に、”KP55M-J4-SS”は19:17から19:18の間に、パワコン表示が滅灯することを確認しました。すべてのパワコンが同時に滅灯すると想定していただけに、意外な結果となりましたが、ほぼサイト2の夜間の消費電力増加はパワコンなどの太陽光発電システムに起因すると判断できます。

パワコン?謎の消費電力増加 その3

先に「昼と夜の消費電力の差は、時刻によって切り替わっているだけと判断できます。このような動作が想定されるのはパワコンです。次回以降パワコン観点で検討を行います」と書きましたが、今回はこの点について確認してみます。
 まず、なぜパワコンに着目したかですが、このサイト2では、1台の”KP55M-J4-SS”(パワコン)を使用しています。このパワコンの仕様として「 消費電力(夜間(交流側)) 0.5W、11.5VA(Typ.)」の記載があります。
http://www.solar-frontier.com/jpn/residential/products/pdf/discontinued/KP55M-J4-SS-A_KP44M-J4-SS-A.pdf
また、パワコン自体の表示器が、昼間は発電量が表示されているが、夜間は表示が滅灯し明らかに昼と夜で動作状態が切り替わり 消費電力量も変わっていることがわかります。
つぎの情報を見ると、パワコンの機種は違いますが、表示を滅灯したときより点灯したときの消費電力が大きいこともわかります。
http://www.faq.energy-innovation.omron.co.jp/print/faq/9

このグラフから、夜間の消費電力は0.26kW、昼間の消費電力は0.17kWで、その差は0.09kWつまり、90Wの差があることがわかります。
パワコンの使用に書かれた消費電力とは2桁ほど違っているので、本当にこれがパワコンの消費電力なのかは疑問です。 そこで、昼間から夜間の消費電力に切り替わる時刻がどのように推移するかを確認するために日ごとの18.19,20,21時それぞれの消費電力量をプロットしました。


この結果から、昼間から夜間の消費電力に切り替わる時刻は日々徐々に一定に変化しており、日没時刻から算出したと推測します。このような挙動をするのはパワコンなど太陽光発電システムくらいしか思いつきません。 パワコンの消費電力は0.5Wなのか、90Wなのか、パワコン以外に夜間電力消費が発生するものがあるのか確認してみます

ここまでの状況から、電力量が大きいかどうかの確認は必要だが、パネルが故障するなど、長期間発電量がゼロの場合、パワコンが無駄に電力消費するということがわかりました。発電システムの故障を検出したら、放置せずにすぐに修理するとか接続を切るとか処置をするべきでしょう。放置や変な処置をすると、淡路の風力発電のような事故につながるかもしれないので故障を早期に気付ける仕組みも重要そうです。

パワコン?謎の消費電力増加 その2

サイト2の夏の冬の消費電力で夕方は日照時間の影響が見えるが、朝方はずれがないように見えています。データの整理ミスの可能性が一番高いと思い再点検しましたがここでの間違いはなさそうです、これについても原因確認していきます」と前に書きましたが、今回はこの点について確認してみます。まず、考えられる原因について検討してみます。
①どこかの時点でデータ収集する時刻がずれた。集計ミスではなく機器の設定の問題を想定しています。
②天候の影響で、たまたま6月の該当日は早朝の日照がなかった。
③ ①、②のいずれでもない。パワコンなどの負荷側の挙動で発生している。

①の確認のため、別の日のデータをプロットしなおしました。6月、12月のデータは2013年分で、6月の2としたものは2014年4月分です。


2014年4月分でも夕方の消費電力の増加時刻の差が確認できますが、朝方の減少時刻には変わりがありません。このデータの日の気象庁データは快晴で、天候による朝方の減少時刻への影響はありません。念押しで、12月のかなり強い雨日のデータに変えてプロットしなおしました。


意外に朝方の減少時刻だけでなく、夕方の増加時刻にも影響はありませんでした。この結果からサイト2には日照により点灯・滅灯する機器の影響ではないという結論にたどり着きます。つまり、①、②ではないということです。昼と夜の消費電力の差は、時刻によって切り替わっているだけと判断できます。このような動作が想定されるのは③のパワコンや太陽光発電システムです。次回以降パワコンなど太陽光発電システム観点で検討を行います。

パワコン?謎の消費電力増加

データ集計の過程で、サイト3の消費電力が多めであること気が付きました。サイト3は街路灯のLED化の変更をした以外は変更がなく、消費電力が増える予定はありませんでした。
時系列で消費電力をチェックしました。同時にプロットしたサイト2の消費電力も
同様にほぼ一定で、増えるような変更はしていません。

まず、サイト2、サイト3について月ごとの総消費電力をプロットしました。太陽光発電として 気になるのは自己消費電力なのですが、自己消費電力量は、消費電力量と太陽光発電での発電量の 両方に依存するので、ここでは総消費電力のみを分析します。

総消費電力量の推移

  サイト2はほぼ一定です。多少冬場の電力消費量が多めな感じです。サイト3は夏と冬の電力消費量の変動が明確です。さらに、2016年以降に消費電力量が増加しています。現在は通常?の状態に戻っています。この謎の消費電力増加の 原因分析、調査を行います。
そこで、考えられる理由を挙げてみました。
①誰かが電気器具を接続して消費している。
②新たに導入した設備が電力を消費している。
③何らかの理由で、既存設備(太陽光発電以外の設備)の消費電力が増加している。
④何らかの理由で、太陽光発電システムの消費電力が増加している。

①が原因として一番怪しいが、消費電力が多い状態のとき、現地の確認を行い特に電気製品が使われている気配がないことを確認しました。
②に関しては、2013年以降の設備変更はなく原因ではありません。
③、④の根本原因は、設備が”故障している”か”動作状態が変わった”ことで消費電力量が増加していることと想定されます。

現地の外観や状況からは決め手となる原因は見つかっていません。これについての分析は置いておいて、 夏と冬の消費電力量の差について分析してみます。 夏至・冬至付近の晴天の日の1時間ごとの消費電力量を プロットしました。

夏と冬の消費電力

昼間より夜間の消費電力が大きい。これは街路灯の電気消費に依存します。それぞれのサイトには、街路灯と常時省電力を消費する設備があります。 街路灯の消費電力は、サイト2が0.8kW、サイト3が4.6kW程度で、常時消費される電力はサイト2が1.6kW、サイト3が1.4kW程度です。 夏と冬で明るい時間が朝と夕方とそれぞれで2時間程度違うため、その分、街路灯が消費する電力量が変わります。 ただ、サイト3については日照の影響以外にベースの消費電力が違うように見えるので、冬のデータから0.05kWを引いたデータでプロットしなおしてみました。


検証のため0.05kW分シフトして再プロットしたグラフ

想定される絵柄になりました。夏と冬の差が日照時間の2時間分の差だけで他に差がないように見える絵柄です。ということは、夏と冬で 0.05kWの消費電力の差が何らかの理由で発生しているということです。言い換えると前述の”動作状態が変わった”に該当する事象が発生しているということです。
今日はここまでです。今後、”動作状態が変わった”原因が何かを分析していきます。※ サイト2の夏の冬の消費電力で夕方は日照時間の影響が見えるが、朝方はずれがないように見えています。データの整理ミスの可能性が一番高いと思い再点検しましたがここでの間違いはなさそうです、これについても原因確認していきます。 また、上記の④の中にタイトルに記載したパワコンがあります。これについても分析していきます。

電力と電力量の表記ゆれがあるように見えますが、1時間分の消費電力量を断り書きせずに電力に換算しています。ほかの箇所もこの断り書きなしの菅さんをして書きます。

太陽光発電システムの故障判断アルゴリズム(その1)

 前回「この判定アルゴリズムを組み込んだアラートメールと、定期的にアラートメール自体の稼働監視用のメール通知をするシステムを構築しました。」と紹介しました。今回は、この 判定アルゴリズムと判定精度について紹介します。
 つぎが判定アルゴリズムでの解析後のデータのプロットです。 故障をかなりきれいに検出しています。

故障検出用のデータプロット


グラフの一番左が、発電開始日で、日ごとのデータをプロットしていて、一番右側が導入後6ヶ月あたりです。
太陽光発電システムは3つあり、サイト1、2、3としています。順番に構築したので、サイト2、3の発電開始日は 2、3週間とそれぞれ遅くなっています。 サイト1、2、3のそれぞれの500m程度です。距離が500m程度だと、瞬間に日照は雲のかかり具合で差が生じますが、1日の発電量に影響するような長時間片側のシステムだけ雲が覆い隠すようなことは 起こりません。要するに近場だと、天気による発電量への影響はほとんど同じになる。この特性を利用します。つぎが具体的な判定アルゴリズムです。
P1=「サイト1の1日の発電量」/「想定発電量」
P2=「サイト2の1日の発電量」/「想定発電量」
P3=「サイト3の1日の発電量」/「想定発電量」
MaxP=max(P1,P2,P3)
S1=P1/MaxP
S2=P2/MaxP
S3=P3/MaxP

このS1、S2、S3をプロットしたものが上のグラフです。
すこしばらつきがありますが、その原因は悪天候です。発電量が小さい場合はばらつきが大きくなる傾向があります。
また、太陽光パネルの配置が2か所は南向き1面なのに対して1か所は東西で振り分け(均等ではない)であるため、 午前と午後で天気が変わった場合にばらつきがすこし大きくなります。また、悪天候の日の発電量が想定発電量に対して、いずれの設備も30%以下と極端に小さい場合は、その日のデータを無視する仕掛けを入れて 判定しています。 そして判定結果をメールで通知しています。
これまでのところ工事停電など特殊な事情がなければメールも来ず、監視はうまくいっています。

 ここでは、複数の設備の比較での判定を紹介しました。1システムしかないケースがほとんどなので、 次回は、1システムしかない場合でも判定できるアルゴリズムを紹介します。

太陽光発電について

2013年に導入した太陽光発電システムについて書きます。最近の話の前にこれまでの運用状況です。
一言でいうとおおむね順調です。導入当初に設定した6年で投資額を回収する計画をほぼ予定通り 達成しています。 導入システム選定はこの投資回収期間の最小化を指標として機器選択をしています。
この投資金額は補助金等を考慮した実質の投資金額で算出しています。買電単価は42円/kWhでした、最近は 買電単価や太陽光発電システムの価格が下がってきているので、投資回収期間がどれくらいなのか わかりませんが、現時点で投資回収期間を6年くらいにするのは難しいと思います。

 これまでの、太陽光発電システムのトラブルは、導入後3か月で発生したパワコンの故障が一番大きいものでした。
たまたま見たモニタの発電量の数値が小さめであったことで気が付きました。4.4kWと5.5kWの2台のパワコンがありこのうち4.4kWのほうが故障していました。
このため、モニタ上の発電量は”0”になるのではなく通常の60%くらいの数値でした。もちろん発電量は天候によって 変化するので最大値の60%程度の発電量しかないことも普通にあるので、発見できたのは運が良かったかもしれません。
といっても、過去データを解析すると(ロスした期間はしたのとおり)、実際に故障してから発見するまで2週間経過していました。そして修理(パワコン交換)まで1週間ほどかかりました。 

 この復旧までの期間を短くするため、この判定アルゴリズムを組み込んだアラートメールと、定期的にアラートメール自体の 稼働監視用のメール通知をするシステムを構築しました。
 そして、上のトラブル以降は、パワコンの故障は発生することなく現在に至っております。
パワコンの故障以外に気になる事象(別の機会に書きます)が発生しており、アラートの仕組みの再構築を検討中です。

6月7日 100%
6月8日 57%
6月9日 62%
6月10日 57%
6月11日 68%
6月12日 67%
6月13日 66%
6月14日 61%
6月15日 72%
6月16日 71%
6月17日 68%
6月18日 61%
6月19日 56%
6月20日 54%
6月21日 59%
6月22日 80%
6月23日 64%
6月24日 65%
6月25日 61%
6月26日 91%
6月27日 100%
6月28日 100%
6月29日 100%