ぐるぐるnest hub その1 インターネット未接続となる問題  徹底調査で解決 

「WiFiに繋がらない」、「インターネット未接続となる」などで検索すると多数の記事が見つかり、そこには「使用デバイスの不具合」、「無線LANルーターに不具合」などの記載があり、その対処は「スマートフォンの機内モードのONとOFFを切り替える」とか「スマートフォンのネットワーク設定をリセット・再設定」とか書いている。その対処で動くようになることがあるかもしれないが、原因が特定できておらず、再発する可能性が高い。つまり解決したことにはならないことが多々あるに違いない。

  ここでは、ほかのサイトに書かれていない(稀な?)パターンの調査&解析とその解決までの記録である。 タイトルを「ぐるぐるnest 」としたが”その1”ではnestの話を書こうとしていたところ発生した別パターンのトラブルについて書く。

症状:

AndroidスマホをWiFiにつないで使用していた。ある時点までは問題なくWiFiを利用できていたが、部屋を移動して別の無線LANを使用して元の部屋に戻ってきWiFi接続を切り替えるとWiFi(無線LAN)には接続できているが「インターネット接続なし」となりネット利用できなくなる。
 同じ無線LANに接続してほかのIoT機器(Google home、SiwtchBotHubやNature Remo)はインターネットに接続できている。

 この状態で、他のサイトの記事を参考に対処するなら、Androidスマホの再起動や、WiFiオンオフの設定や無線LANの再起動だろう。 いずれの対処も効果なく症状に変化はなかった。過去には似たような症状のときに、無線LAN再起動することで復旧したことはあったが、今回はそのパターンではなさそう。
「原因特定なくして解決なし」ということで原因調査を開始した。

解析編:

まず大まかな切り分けから。
 よくあるサイトの対処手順を参考に切り分けてみる。
1. まずスマートフォンそのものが壊れていないかを確認
  他の無線LANにつないで使う分には問題なく使える
→ 「 スマートフォン そのものの故障」ではない
2.「スマートフォンの機内モードのONとOFFを切り替える
  OFFにするとつながらない。ONに戻しても「インターネット接続なし」の状態に変化はない。 →「機内モード」の問題ではない
3.「スマートフォンのwi-fiのONとOFFを切り替える
OFFにするとつながらない。ONに戻しても「インターネット接続なし」 の状態に 変化はない。 →「WiFi ON/OFF」の問題ではない
4. 「スマートフォンのネットワーク設定をリセット・再設定
 無線LANに接続できているので、スマートフォン側の設定の可能性は極めて低い。もし、設定の問題だとしてもいきなり再設定ではなく設定が妥当か確認する作業が必要だろう。 ということで、後で確認する。
5.「スマートフォンを再起動
スマートフォンが異常な状態になっているなら、これで復旧するかもしれない。
 再起動しても 「インターネット接続なし」 の状態に 変化はない。 →  一時的な異常な状態という問題ではない。

 ということで、よくあるWiFi接続問題を取り扱うサイトには書かれていない何らかの問題が発生していると推測された。

戻って、スマートフォンのネットワーク設定を詳細確認してみた。 設定詳細を開くと、スマートフォンに払いだされたIPとゲートウェイIPは目を疑うものだった。いや、これではインターネットにつながるはずがない。これで、無線LANに接続できているのにインターネットに接続できない直接的な原因は理解できた。
 なぜそうなったかの調査と根本対策は。ここから始まる。
とりあえず復旧させてみよう。”プライバシー….” という項目を長押しするとMACアドレスをランダムにするかデバイス固有のものにするか切り替えることができる。これを使ってIPアドレスをDHCPに再払い出しを要求してみる。 とりあえずIPアドレスは想定通りのものに変わりインターネット接続は復旧した。
 →これで、 「インターネット接続なし」 の直接の原因は”割り振られたIPアドレスにある”ことが確認できた。

 問題の「目を疑ったIPアドレスとゲートウェイIP」は、遠く離れた場所に最近追加した無線LANの無線LAN側のDHCP設定で指定したものだった。
 ここまでの状況を図で整理すると次のようになる。


この挙動は、かなりありえないことが起きていそうなことが理解できるだろう。ただ、事実起きているのだから、この事象発生には何か原因があるのは間違いない。こういう問題は、”ありえない”と最初から起こりそうにないことを除外してしまうと永遠に解決できなくなる。切り分け調査を一歩一歩進めるのが解決への近道である。

 さて切り分けをどうするかを考えようとしていた矢先、「インターネット接続なし」問題が再発した。 今度は、  ”プライバシー….”を使ってIP再払い出しを試みるも復旧しなかった。なおかつ、IP再払い出し要求をするたびに確かにIPが変わっている。そのIPは無線LAN③用のものだ。無線LAN③からIPが払い出されているのは間違いなさそうだ。では、どのような経路で払い出されているのだろう。WiFi接続の認証後、IP払い出し要求するときに無線LAN③からの電波を受け取っているのだとしたら、… 
 無線LAN③の電源を切ることで解決できそうだ。しかし、必要だから無線LAN3を用意したわけで、いつも電源を切っておくわけにはいかない。そこで、まず電源は切らずに無線LAN③のWAN側のケーブルを抜線してみる。

暫定対処

無線LAN③のWAN側のケーブルを抜線して 、スマホで「 IP再払い出し要求 」をすると正しいIPが払い出されて、インターネット接続に成功した。
 これで、このトラブルのメカニズムを理解できた。
ここまでの文面で分かる人は理解できたかもしれない。少し難解なところもあるので、再度整理しておこう。

トラブル原因と仕組み

仕組みは上の図の通りである。 問題は、無線LAN③のDHCP動作である。DHCPはLAN側設定であって、WAN側に流れるものではない。 無線LAN①に接続した機器は通常ブロードバンドルータが払い出したIPを利用する。これにより、IPは192.168.1.xxx、ゲートウェイIPは192.168.1.254となる。しかし問題発生時はIPが192.168.80.xxx、ゲートウェイIPが192.168.80.1となっていた。
 192.168.1.xxとなるか、192.168.80.xxとなるかは、どちらのDHCPからの応答が早いかなど運しだいという状況だったわけだ。スマホ以外のIoT機器に問題がなかったのはたまたまといってよいだろう。いつかは同じ状態に陥っていたかもしれない。また、IoT機器は設計上リトライ回数を増やすなどが我慢強い復旧策を実装しているのが効いているかもしれない。
 いずれにしても、根本原因は判明した。

根本対策

問題原因は分かり、無線LAN③のWANケーブルを抜くことで解決したが、192.168.80.x系のIoT機器が使えない状態なので、いつまでもこの状態にしとくわけにもいかない。
 
 無線LAN③の設定を見直してみる。 そもそも192.168.80.x系の通信がWAN側に漏れるのを防ぐべきで、基本的にはガードできているようだ。 だが、実際にDHCPのUDPパケットはWAN側から無線LAN③に到達して、それに対する応答をしている。 無線LAN③のWAN側パケットフィルタを見るとデフォルトで多数の設定が組み込まれているがDHCPパケットの破棄設定はなかった。

  そこで、DHCPパケットをフィルタリングすることとした。根本対策は、「ネットワーク構成変更jする際は、境界を越えてDHCPパケットが流れないように設定を確認する、また設定を行う」とする。
 ※ネットワーク機器メーカは妥当になるように製品開発を行う際は十分に検討・検証してほしい。

最後に

トラブルの対処法は、小手先の対処では再発する。根本原因を調査して根本対策しましょう。
  ちょっと、長くなりました。 タイトルの「ぐるぐるnest」は次の機会に書きます。このネタも今回と同じくらい長くなる予感がします。。。

Linuxホットスポット検証のため USB WiFiデバイスをいくつか動作検証してみました

・ホットスポットの動作確認した環境はつぎのとおりです。これはLinuxで最初に動作確認できたLenovoのノートPC G570での操作をベースにしたGUI操作のみのチェック手順です。
HW:
・ Intel(R)   USB 3.1
・USB2.0
OS:
・ Windows10 バージョン 1903 OSビルド 18362.295
・ Linux Ubuntu 19.04

以下にそれぞれの仕様と各OSでの動作状況をまとめました。動作確認はインストール
[表中の記号の意味]
〇:上記OS で ドライバ等の追加インストールなしで利用可能
×: 上記OS で ドライバ等の追加インストールなしで利用不可
△: 上記OS で ドライバ等の追加インストールで利用可能。ドライバ無は×
▼: 上記OS で ドライバ等の追加インストールしても利用不可。 ドライバ無は×

型番TL-WN725NWDC-433DU2HBK802.IINPT-N330multibyte
写真写真
メーカTP-LINKELECOM Cangad Saikogoods
pinTOP
参考AmazonAmazonAmazonAmazonAmazon 写真と違う
金額700円
(送料630円)
2,389 円
(送料 0)
299円
(送料300円)*6
480円
(送料0)
¥398
(送料0)*6
インターフェイスUSB2.0USB2.0USB2.0USB2.0
周波数2.4GHz2.4GHz
5.2,5.3,5.6GHz
2.4GHz2.4GHz2.4GHz
伝送方式11b/g/n11ac,11a,
11b/g/n
11b/g/n11n? 11b/g/n
送信出力10mW/MHz以下
Win10 子機 〇 *7× *3
Win10 HotSpot〇*b〇*b 〇 *7*b× 〇 *b
Ubuntu 子機△ *2
Ubuntu HotSpot× *1▼ *2 *5〇*bx *4〇*b
Ubuntu hostapd×? *8×? *8
Ubuntu
使用ドライバ(チップ)
RTL8188euRTL8812au(RTL8188CU) Ralink MT7601U(RTL8188CU)

*1:HotSpot起動時にエラーが発生し、正常にHotSpotを起動できない。
*2: USBデバイスとは認識するが、WiFi機器と認識しない。(メーカサイトではLinux未対応) ドライバをmake インストールすることで認識
*3: mini-CDつき、インストールすれば使えるかもしれないが、保留。
*4: WiFiのHotSpotのメニューがグレーアウトされている。
*5:HotSpot起動操作で WARNログ( device (デバイス名): Activation: (wifi) Ad-Hoc network creation took too long, failing activation)を出して、起動に失敗する。
*6:配送に非常に時間(2、3週間)がかかった。発送元は台湾。
*7: mini-CDつきだが、使用しなくてもWin10で動作した。
*8:ドライバが未対応?

参考:以下はUSBモジュールではありませんが、参考のため動作確認した結果です。

型番G570
写真
メーカLenovo
周波数2.4GHz
伝送方式11b/g/n
送信出力? (比較的弱い)
Win10 子機
Win10 HotSpot〇 ※b
Ubuntu 子機
Ubuntu HotSpot〇 ※a
Ubuntu hostapd〇 ※b
Ubuntu
使用ドライバ
AR9285

※a:Ad-Hocモードで動作する。
※b:Infraモードで動作する。