前回の解析に続いて、経年劣化の状況を整理しておきます。最初に実際のデータです。7月の発電量のうち発電量が最大だった日のデータを年ごとにプロットしたものです。3つとも劣化していることが分かります。変更の影響を受けている部分はありますが、全体的な傾向から劣化していると言ってよいでしょう。
このような経年劣化に関連した保証しているメーカーもあります。まずはその辺から、保証内容にまとめたサイトもありますので全体像はそちらを参考にしてください。ここでは、経年劣化に関する保証内容のみをまとめます。
メーカ名 | 10年保証 | 11年以降 | |
パナソニック | JIS C 8918の7.1(性能)に示された公称最大出力に対して、10年で81%未満 | 25年で72%未満 | ※1 |
シャープ | JIS C 8990で規定するAM1.5、放射照度1,000W/m2モジュール温度25℃、最大出力の90%を基準にしてその90% | 11-15年 85% 16-20年 80% | |
京セラ | 公称最大出力の81% | 10-20年 72% | |
東芝 | JIS C 8918の7.1(性能)に示された公称最大出力に対して、10年で81%未満 | 25年で72%未満 | |
長州産業 CIC | JIS C 8918 に示された公称最大出力に対して、81%未満 | 11年目から15年間 :72%未満 | ※1 |
ソーラーフロンティア | 公称最大出力の交差範囲内の最小許容値に対して10年で10%以上低下 | 20年で20%以上低下 |
※1:手続きをいろいろしておかないと保証書も発行されない仕組みになっている。みんなちゃんと手続きをしているのだろうか?
上の通り81%未満のメーカが多い。公称最大出力を基準としているところが多いが、実際の発電量と見比べたとき、何パーセントになったときに保証されるものなのか非常に分かりにくい。上の実際のデータで見てもわかるように10年で初期の発電量の80%程度になることは当たり前のように推測されます。
そして、どうなったら「保証の対象」つまり保証の基準を下回っていると判断されるのかをメンテナンス会社に聞いてみましたが、判断基準や確認方法についての返事は帰ってきませんでした。 80%とか70%の微妙な数字では、「天候や太陽高度の影響により変わる」というごく当たり前のことをいって保証の対象外とされています。たぶん出力が初期の50%以下になるとか極端な数値にならないと保証されないでしょう。
2013年7月 発電量(1日分) | 2019年7月 | 比率 劣化度 | |
site1 | 54.0kWh | 45.5 | 84% |
site2 | 32.0 | 27.6 | 86% |
site3 | 65.6 | 55.7 | 85% |
上表のように発電量は10年で初年の80%程度の発電量となるので、発電収入などを見積もるときは平均的にこの程度の劣化があるものとして見積もったほうが良いでしょう。