2026年秋【重要なお知らせ】還付金のご案内および口座情報確認について」は詐欺メール?国税庁(e-Tax)をかたるフィッシングがスパム判定をすり抜けた理由

「【重要なお知らせ】還付金のご案内および口座情報確認について」という国税庁(e-Tax)を名乗るメールはフィッシング詐欺です。本文とヘッダを公開し、偽物と判断できる根拠、スコア4.1でスパム判定をすり抜けた理由、対策を解説します。

迷惑メール対策フィルターと警告サイン

この記事は、スパムアサシンやメーラーでのスパム判定をすり抜けた怪しいメールを取り扱います。その内容の判定や、設定方法の改善策について記載します。

結論から言うと、このメールは国税庁(e-Tax)を装ったフィッシング詐欺です。リンクは開かず、メールは削除してください。

2026年10月11日(日)の夜、筆者のもとに「【重要なお知らせ】還付金のご案内および口座情報確認について」という件名のメールが届きました。差出人は「e-Tax」、アドレスは国税庁の正規ドメインである info@e-tax.nta.go.jp です。ところがヘッダを調べると、国税庁のサーバーから送られたものではないことがはっきり分かります。

同じ日に届いた別文面のe-Tax偽装メールは、前回の記事で取り上げました。今回は文面も送信元IPアドレスも別ですが、送信ソフトの表記(Foxmail)、時刻の表記(+0800)、送信ドメイン認証の失敗など、共通する特徴があります。同じ系統の配信とみられます。

そして今回も、SpamAssassinの判定は「スパムではない」でした。スコアは4.1点(この環境のしきい値は30.0点)で、迷惑メール扱いにならず、そのまま受信箱に届いています。

自分に届いたメールと照合する

お手元のメールが同じものか、次の項目で確認できます。本文の金額などは、配信ごとに異なる可能性があります。

項目内容
件名【重要なお知らせ】還付金のご案内および口座情報確認について
差出人表示"e-Tax" <info@e-tax.nta.go.jp>
受信日時2026年10月11日(日)20:54(日本時間)
本文の金額と期限還付金確定金額:93,500円 / お手続き期限:令和8年10月12日
送信元IPアドレス120.35.201.239
Message-ID<20261011195412267182@e-tax.nta.go.jp>
送信ソフトの表記Foxmail 6, 13, 102, 15 [cn]

背景:情報漏洩が詐欺メールの精度を上げている

昨今、各社から不正アクセスによる個人情報漏洩の報告が相次いでいます。問題は、単にメールアドレスが漏れたということにとどまりません。

メールアドレスとサービスの利用情報が一緒に漏れれば、そのサービスを名乗る詐欺メールの精度は上がります。極端な話、利用しているサービスから届いた「あなたの個人情報が漏れました」というお知らせメール自体が、詐欺である可能性さえあります。

フィッシング対策協議会も、フィッシングメールが届くということはメールアドレスがインターネット上に漏えいしていることを意味し、漏えいした情報は犯罪者の間で売買されて消せない、と注意喚起しています。

今回のメールは宛名のない汎用の文面で、特定サービスの漏洩情報を使った形跡はありません。それでも、国税庁という「自分にも関係があるかもしれない」組織を名乗ることで、受信者を選ばずに信じさせる作りになっています。こうしたメールが届く前提で、判定をすり抜けたときの備えを整えておく必要があります。

届いたメール(受信したままの記録)

以下は受信したメールの件名、本文、ヘッダです。公開にあたり、次の方針で扱っています。

  • 受信者のアドレスと受信サーバーが特定できる部分は「******」に置き換え、受信サーバーが付けた署名などの行は省略しました
  • 送信側の情報(差出人、送信元IPアドレス、Message-IDなど)は、お手元のメールと照合できるよう、そのまま掲載しています
  • 誤字や不自然な表記も、原文のままです

件名

【重要なお知らせ】還付金のご案内および口座情報確認について

本文

【重要なお知らせ】還付金のご案内および口座情報確認について


国税e-Tax
住宅借入金等特別控除の還付金について
令和7年度分の所得税について、還付金が確定いたしました。
下記のとおりご案内いたします。
還付金確定金額:93,500円
お手続き期限:令和8年10月12日
受付日時:2026年10月11日
還付金のお受け取りには、下記よりe-Taxログインのうえお手続きください。

■ご利用確認はこちら

---------------------------------------------------------------
※必ず期限内にご確認いただきますよう重ねてお願い申し上げます。
【ご注意事項】 ·メッセージボックスの内容確認には、マイナンバーカード等の電子証明書による認証が必要です。
還付金の振込には、別途お手続きが必要な場合がございます。詳細は通知書をご参照ください。
e-Taxのご利用可能時間は、e-Taxボームページにてご確認いただけます。 本メールは送信専用です。
ご返信いただいてもご対応いたしかねますのでご了承願います。
 e-Taxホームベージにおける個人情報保護方針
 1. 基本的考え方 国税庁では、e-Taxホームページ(ドメイン「www.e-tax.nta.go.jp」)において提供するサービス(情報提供、各種意見の受付等)の円滑な運営に必要な範囲で情報を収集しています。
収集した情報は利用目的の範囲内で適切に取り扱います。
 2. 収集する情報の範囲 当サイトでは、インターネットドメイン名、IPアドレス、閲覧情報等を自動的に収集します。ー部サービスにおいてクッキーを使用する場合がありますが、個人を特定する情報は取得いたしません。
https://net.kojinbango-card.go.jp/SS_SERVICE_OUT/FA01S001Action.do
(※) マイナンバーカード方式について
マイナンバーカード方式の概要
e-Taxへのログインにあたっては、利用者識別番号(数字16桁)及びパスワードの入力が必要ですが、 マイナンバーカード (※) を事前に登録するだけで、利用者証明用電子証明書の暗証番号(数字4桁)を入力することでe-Taxへログインが可能になります。
(※) 「スマートフォンのマイナンバーカード」 も利用可能です。
https://www.e-tax.nta.go.jp/kojin/mycd_login.htm#anc05
マイナンバーカード方式のメリット
利用者識別番号(数字16桁)及びパスワードの管理が不要です。
マイナンバーカード方式でログインした場合、利用者識別番号は「マイページ」の「基本情報」メニューから、パスワードは「マイページ」の「その他の登録情報」メニューから確認できます。
https://net.kojinbango-card.go.jp/SS_SERVICE_OUT/pages/ssf/FG01S001.jsp
e-Taxを利用するために事前準備として必要であった電子証明書の登録が不要です。
マイナンバーカードの電子証明書(有効期限:5年間)が失効した場合は、市区町村の窓口で電子証明書の更新を行うことで、e-Taxをご利用いただけます。
https://services.digital.go.jp/mynumbercard-android/#%E4%BD%BF%E3%81%88%E3%82%8B%E5%A0%B4%E6%89%80%E3%82%84%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%93%E3%82%B9
「スマートフォンのマイナンバーカード」も利用可能です。
マイナンバーカードを取得されている方は、お持ちのスマートフォンにマイナンバーカード(Android™については「スマホ用電子証明書」のみ対応(※)。)を搭載することができます。
「スマートフォンのマイナンバーカード」を利用すれば、マイナンバーカードをスマートフォンにかざすことなく、申告書の作成・e-Tax送信が可能となります。
また、利用者用電子証明書に設定したパスワード(4桁の数字)を入力する代わりに、生体認証が利用できます。(機種によって異なります。)
詳細や申し込み方法については、デジタル庁HPの「スマートフォンのマイナンバーカード」をご確認ください。
https://www.digital.go.jp/policies/mynumber/smartphone-certification#service
(※)Android™に搭載できる「スマホ用電子証明書」には、マイナンバーカードに記載された氏名、住所、生年月日及び性別並びにマイナンバー(基本4情報等)は搭載されていません。そのため、e-Taxのマイページから初めて「給与所得の源泉徴収票情報の取得希望の手続」を行う場合など、基本4情報等をe-Taxへ提供していただく際には、マイナンバーカードを読み取る必要があります。
----------------------------------------------------------------------------------
国税庁  〒100-8978  東京都千代田区霞が関3-1-1  法人番号7000012050002

国税庁Copyright © NATIONAL TAX AGENCY ALL Rights Reserved.

「■ご利用確認はこちら」の部分には、リンクが設定されているとみられます。リンク先のURLは本稿では掲載しません。【編集メモ:リンク先URLが分かる場合は hxxps://example[.]com のように無効化して追記。確認していない場合は「リンク先は確認していません」と記載】

ヘッダ(公開用に整形)

Return-Path: <info@e-tax.nta.go.jp>
X-Spam-Checker-Version: SpamAssassin 3.4.6 (2021-04-09) on ******.jp
X-Spam-Level: ****
X-Spam-Status: No, score=4.1 required=30.0 tests=HTML_FONT_FACE_BAD,
    HTML_MESSAGE,RDNS_NONE,SPF_FAIL,SPF_HELO_FAIL,URIBL_ABUSE_SURBL,
    URIBL_BLOCKED,URIBL_DBL_BLOCKED_OPENDNS,URIBL_PH_SURBL,
    URIBL_ZEN_BLOCKED_OPENDNS autolearn=no autolearn_force=no version=3.4.6
Delivered-To: ******@******.jp
Received: from e-tax.nta.go.jp (unknown [120.35.201.239])
    by ******.jp (Postfix) with ESMTP id ******
    for <******@******.jp>; Sun, 11 Oct 2026 20:54:15 +0900 (JST)
Authentication-Results: ******.jp;
    dkim=none;
    dmarc=fail reason="No valid SPF, No valid DKIM" header.from=e-tax.nta.go.jp (policy=none);
    spf=fail (******.jp: domain of info@e-tax.nta.go.jp does not designate 120.35.201.239 as permitted sender) smtp.mailfrom=info@e-tax.nta.go.jp
Date: Sun, 11 Oct 2026 19:53:58 +0800
From: "e-Tax" <info@e-tax.nta.go.jp>
To: <******@******.jp>
Subject: =?utf-8?B?44CQ6YeN6KaB44Gq44GK55+l44KJ44Gb44CR6YKE5LuY6YeR44Gu44GU5qGI5YaF44GK44KI44Gz5Y+j?=
    =?utf-8?B?5bqn5oOF5aCx56K66KqN44Gr44Gk44GE44Gm?=
Message-ID: <20261011195412267182@e-tax.nta.go.jp>
X-mailer: Foxmail 6, 13, 102, 15 [cn]
Mime-Version: 1.0
Content-Type: multipart/alternative;
    boundary="=====003_Dragon478065417446_====="

偽物と判断できる根拠

1. 国税庁が説明する「本物のe-Taxメール」と違う

国税庁は、e-Taxを装った不審なメールへの注意喚起ページで、本物のe-Taxメールの特徴を説明しています。このメールと並べると、次のとおり食い違います。

国税庁の説明このメール
送信元表記は「e-Tax(国税電子申告・納税システム)」に統一されている表示名は「e-Tax」のみ
定型の文面で、本文にURLは原則記載しない「■ご利用確認はこちら」からe-Taxログインへ誘導している
宛名は、利用者が登録したものが表示される宛名がない
還付金額を表示したメールは送らない「還付金確定金額:93,500円」と表示している
手続や納付を催促するメールは送らない「お手続き期限」を示し、「必ず期限内に」と促している

差出人のアドレス info@e-tax.nta.go.jp は本物と同じです。アドレスだけでは見分けられないので、表示名や本文の作りも合わせて確認する必要があります。国税庁は2026年10月16日(令和8年10月16日)の更新で、還付金額を表示して受取手続きをうながす類似のメールを、不審なメールの最近の事例として追加しています。

2. 本文が不自然

  • 「令和7年度分の所得税」という言い方は通常使いません。所得税は「令和7年分」と呼びます
  • 受付日時は西暦(2026年10月11日)、期限は和暦(令和8年10月12日)で、表記が混在している
  • 期限はメールが届いた翌日の10月12日で、しかもスポーツの日(祝日)。届いたのは日曜の夜で、考える時間を与えない作りになっている
  • 件名は「口座情報確認」だが、本文には口座の話がなく、ログインを促すだけ。リンクの文言は「ご利用確認はこちら」で、還付とも口座とも合っていない
  • 「e-Taxボームページ」「e-Taxホームベージ」(正しくは「ホームページ」)、「ー部サービス」(漢数字の「一」ではなく長音記号)、文頭の中黒「·」など、公式文書をコピーして加工した形跡がある
  • 後半は、マイナンバーカード方式の説明や個人情報保護方針が長々と続く。公式サイトの文章を流用したとみられ、e-tax.nta.go.jp、kojinbango-card.go.jp、digital.go.jp など本物のリンクも混ざっている。本物のリンクや文章が含まれていても、本物の証拠にはなりません

3. ヘッダが「国税庁から来ていない」ことを示している

調べた項目このメールの値分かること
SPFfail(120.35.201.239 は info@e-tax.nta.go.jp の送信元として許可されていない)国税庁ドメインの正規の送信元ではない
DKIMnone電子署名がない
DMARCfail(No valid SPF, No valid DKIM / policy=none)SPFもDKIMも成立していない。ただし送信ドメイン側のポリシーは none
送信元IPアドレス120.35.201.239(受信時は逆引きできず)HELOでは e-tax.nta.go.jp を名乗っているが、実体と一致しない(SPF_HELO_FAIL)
IPアドレスの所属解析結果(下の「参考」)では、このIPを含む 120.32.0.0/13 は AS4134(CHINANET BACKBONE)として経路が広告されている中国の通信事業者のアドレス帯で、国税庁の設備とは考えにくい。動的に割り当てられた回線とみられる(詳しくは下の「参考」)
送信ソフトX-mailer: Foxmail 6, 13, 102, 15 [cn]中国で広く使われるメールソフトの名乗り。官公庁が使うとは考えにくい
送信日時Date: 19:53:58 +0800日本標準時は+0900。日本時間では20:53:58で、受信側の受付時刻(20:54:15)とは矛盾せず、送信側の端末が+0800設定だったことを示唆する
Message-ID<20261011195412267182@e-tax.nta.go.jp>ドメイン部分も国税庁を名乗っている
Return-Pathinfo@e-tax.nta.go.jpSPFの検査対象になる送信者アドレスも、国税庁を名乗っている

4. 同じ件名が、フィッシング対策協議会の注意喚起に載っている

フィッシング対策協議会は2026年9月30日、国税庁をかたってAndroidスマートフォン用の不正アプリのインストールなどへ誘導するフィッシングメールの注意喚起を出しました。メールの件名の例として、今回と同じ「【重要なお知らせ】還付金のご案内および口座情報確認について」が挙げられています。同協議会は、2026年9月30日時点でスマートフォン用のe-Taxアプリは提供されていないとしています。

このメールのリンク先がどう動作するかは、本稿では確認していません。

参考:送信元IPアドレスの解析結果

送信元IPアドレス 120.35.201.239 を、IPアドレスの情報サービスで調べた結果です。位置情報は推定値で、接続元の回線がある場所の目安にすぎません。送信者本人の所在地を示すものではありません。

項目結果
IPアドレス120.35.201.239
ホスト名239.201.35.120.broad.sm.fj.dynamic.163data.com.cn
国China
地域Fujian
市区町村Sanming(推定)
郵便番号365000(推定)
緯度・経度26.2638, 117.639(推定)
タイムゾーンAsia/Shanghai
ISPChinanet
組織Chinanet FJ
AS番号AS4134 CHINANET BACKBONE
CIDR120.32.0.0/13
開始アドレス120.32.0.0
終了アドレス120.39.255.255

読み取れることは、次の3点です。

  • 一般向けの回線から送られたとみられる。 ホスト名の broad と dynamic は、通信事業者が回線の利用者に動的に割り当てるアドレスによく見られる形式です。国税庁のメールサーバーのアドレスではありません。ただし、回線の持ち主が送信者本人とは限らず、踏み台にされた機器の可能性もあります
  • 時刻の表記と方向が一致する。 タイムゾーンが Asia/Shanghai(+0800)なのは、メールの Date: ... +0800 と一致します。送信ソフトの [cn] 表記も同じ方向です。ただし、これらは偽装できるため、所在地を断定する根拠にはなりません
  • 受信時の逆引き結果とは異なる。 受信時のヘッダでは、送信元は unknown(RDNS_NONE)でした。今回の解析ではホスト名が得られています。Postfixは、逆引きで得た名前を正引きしても元のIPアドレスに戻らない場合も unknown と表示するため、動的回線に多い「逆引きだけが設定され、正引きがない」状態だった可能性があります。本稿では正引きまでは確認していません

なぜスパム判定をすり抜けたのか

SpamAssassinが付けた判定は、次のとおりでした。

X-Spam-Status: No, score=4.1 required=30.0 tests=HTML_FONT_FACE_BAD,
    HTML_MESSAGE,RDNS_NONE,SPF_FAIL,SPF_HELO_FAIL,URIBL_ABUSE_SURBL,
    URIBL_BLOCKED,URIBL_DBL_BLOCKED_OPENDNS,URIBL_PH_SURBL,
    URIBL_ZEN_BLOCKED_OPENDNS autolearn=no autolearn_force=no version=3.4.6

各検査項目の意味は次のとおりです。

検査項目意味
HTML_MESSAGEHTMLメールである(情報のみ)
HTML_FONT_FACE_BADHTMLのフォント指定が不自然
RDNS_NONE受信時に、送信元IPアドレスの逆引きができなかった
SPF_FAIL送信者アドレスのドメインが、SPFの検査に失敗した
SPF_HELO_FAILHELOで名乗ったドメインも、SPFの検査に失敗した
URIBL_ABUSE_SURBL本文中のURLが、SURBLのabuseリストに該当した
URIBL_PH_SURBL本文中のURLが、SURBLのフィッシングリストに該当した
URIBL_BLOCKED / URIBL_DBL_BLOCKED_OPENDNS / URIBL_ZEN_BLOCKED_OPENDNSブロックリストへの問い合わせ自体が断られ、検査できなかったことを知らせる管理者向けの通知

ここから読み取れることは、次の4点です。

  • 点数が足りない。 合計は4.1点です。SpamAssassinの標準のしきい値5.0点でも通過する点数で、この環境のしきい値は30.0点でした。スコアの積み上げだけで止めるのは難しい状況です
  • フィッシングURLのリストに載っていても、加点は小さい。 URIBL_ABUSE_SURBL と URIBL_PH_SURBL の2つに該当しながら、合計は4.1点にとどまりました
  • ブロックリストの照会3件が、実質機能していない。 BLOCKED を含む3つは「該当した」ではなく「問い合わせを断られた」という意味です。公開DNSリゾルバー経由の問い合わせなどは、ブロックリスト側が受け付けないことがあります。検査できていないので、これらのリストに載っていたかどうかは分かりません
  • DMARCの結果は、スコアに入っていない。 tests= の一覧にDMARC関連の項目はありません。dmarc=fail は Authentication-Results ヘッダにだけ記録されています。しかも送信ドメイン側のポリシーは policy=none で、認証に失敗しても拒否や隔離を求めていません

つまり「認証に失敗している」という最も強い手がかりが、スコアにはほとんど反映されていません。そこで、スコアとは別に、認証の失敗そのものを条件にして振り分ける対策が有効になります。

対策1:送信認証の失敗を条件に振り分ける

「スコア」ではなく「認証の失敗」を条件にする方法です。政府機関のように送信ドメイン認証を整えているはずのドメインを名乗り、かつ認証に失敗しているメールは、ほぼ偽物とみなせます。

筆者が使っているThunderbirdの設定は、前回の記事で紹介したものと同じです。

  1. メニューの「ツール」→「メッセージフィルタ」を開く
  2. 「新規」を選び、条件の項目で「カスタマイズ」から Authentication-Results を追加する
  3. 「次の文字列を含む」で spf=fail と dmarc=fail の両方を条件にする(「すべての条件に一致」)
  4. 動作は「削除」ではなく「ゴミ箱へ移動」または専用フォルダへの移動にする

今回のメールのヘッダにも spf=fail と dmarc=fail の両方が含まれているので、同じ条件で捕捉できます。注意点は2つあります。

  • Authentication-Results は受信サーバーが付けるヘッダです。お使いの環境のメールに付いているか、先に確認してください(ヘッダの見方は前回の記事にまとめています)
  • 認証の失敗は、転送やメーリングリストを経由した正規メールでも起こります。振り分け先のフォルダは、週に1回程度、差出人と件名を確認してください

対策2:サーバー側のスコア設定を見直すときの考え方

  • しきい値を下げる。 今回の4.1点を止めるには、しきい値を4.0点以下にする必要があります。そこまで下げると、正規メールの誤判定が増えます。判定結果を「削除」や「破棄」にしている場合は、誤判定で正規メールが戻せなくなるため、特に慎重に検討してください
  • ブロックリストの照会が拒否されていないか確認する。 ヘッダに BLOCKED を含む項目が出ているなら、その検査は働いていません。自前でサーバーを運用している場合は、SpamAssassinが参照するDNSを、自分で用意したキャッシュDNSサーバーに切り替える方法があります。レンタルサーバーでは利用者が変更できないことが多いので、サーバー事業者への確認や、サービス選びの材料になります
  • 自前のSpamAssassinなら、認証失敗にルールを追加する。 SPF失敗とDMARC失敗が重なったときに大きく加点するルールを足す方法です。設定方法は、要望があれば別記事で取り上げます

対策3:メールのリンクから手続きしない

国税庁によると、e-Taxから送るメールは定型の文面で、本文にURLは原則記載されません。フィッシング対策協議会も、e-Taxから通知が来た場合は登録済みの環境からメッセージボックスを確認するよう呼びかけています。

  • 本文にURLのあるe-Tax通知は、その時点で疑う
  • 還付や期限の連絡が気になったら、メールのリンクではなく、ブックマークしておいた公式サイトから自分でe-Taxにログインして確認する

もしリンクを開いてしまったら

状況別の対処は、前回の記事に詳しくまとめています。要点は次のとおりです。

  • 開いただけで何も入力していない場合: ブラウザを閉じ、念のため履歴とキャッシュを削除する
  • IDやパスワードを入力した場合: 公式サイトから直ちに変更し、同じパスワードを使い回しているサービスもすべて変更する。マイナンバーカードの暗証番号を入力した場合は、カードの一時利用停止も検討する(マイナンバー総合フリーダイヤル 0120-95-0178)。クレジットカード情報を入力した場合は、カード会社にすぐ連絡する
  • アプリをインストールしてしまった場合: 機内モードでネットワークを遮断し、アプリをアンインストールしてウイルス対策アプリでスキャンする。銀行・証券・クレジットカードなどのパスワードも変更する
  • 相談先: 警察の相談窓口 #9110、消費者ホットライン 188、最寄りの税務署

同じようなメールを受け取ったら、フィッシング対策協議会への報告もお願いします。国税庁の不審なメールや電話に関する注意喚起も参考になります。

よくある質問

Q. 「【重要なお知らせ】還付金のご案内および口座情報確認について」というメールは本物ですか?

A. 偽物です。国税庁は、還付金額を表示したメールは送らないと説明しています。ヘッダも、国税庁のサーバーから送られていないことを示しています。

Q. すでにリンクをクリックしてしまいました。

A. 何も入力せず、アプリもインストールしていなければ、大きな被害の可能性は低いです。ただし、上の「もしリンクを開いてしまったら」を確認してください。

Q. 迷惑メールフォルダに入っていないのはなぜですか?

A. SpamAssassinのスコアが4.1点で、しきい値に届かなかったためです。DMARCの失敗はスコアに入っておらず、送信ドメイン側のポリシーも none だったため、受信側でそのまま配信されました。

Q. 本物のe-Taxからのメールかどうか、どう確認すればいいですか?

A. メールのリンクは使わず、ブックマークした公式サイトから自分でe-Taxにログインして、メッセージボックスを確認してください。国税庁によると、本物の通知メールは定型の文面で、本文にURLは原則記載されず、宛名を登録していればその宛名が表示されます。

まとめ

  • 「【重要なお知らせ】還付金のご案内および口座情報確認について」は、国税庁(e-Tax)を装うフィッシングメールです
  • 還付金額の表示、本文のリンク、宛名の欠落、不自然な日本語、ヘッダの認証失敗から、偽物と判断できます
  • SpamAssassinのスコアは4.1点(しきい値30.0点)で、判定をすり抜けました。ブロックリストへの照会も3件が拒否され、DMARCの結果はスコアに入っていませんでした
  • スコアに頼らず、spf=fail と dmarc=fail を条件にしたフィルタが有効です。ただし、振り分け先のフォルダは定期的に確認してください

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参考

スパムアサシンの設定と、メーラーでの設定については、要望があれば記事を用意します。コメントでお知らせください。

この記事は2026年10月31日時点の情報です。手口は変化するため、最新の注意喚起は国税庁やフィッシング対策協議会の公式サイトでご確認ください。

過去(2024年以前)実施の迷惑メール対策方法、設定

スパムアサシンの設定と、メーラーでの設定については、要望があれば記事を用意いたしま。コメントとをお願いします。

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