「三壁問題」その1   AIと人間の類似性から見えるコミュニケーションの壁 ~認知・表現・理解の障壁を乗り越えるヒントを、dearMoonプロジェクトと生成AIの課題から探る~

何かいい呼び名はないかとGPTに聞いてみると 、いくつも案を出してきたが、 「 「三壁問題」(“さんぺきもんだい”でリズムがいい) 」 いってきたので採用してみた。 

定義

まずは「三壁問題」の定義から行きましょう。 コミュニケーションミスに関連するキーワードを下に挙げてみました。 下のキーワードのほかに、ハラスメント関連のキーワードが出てきますが、それらは「三壁問題」の延長で発生している可能性もありますが、この話に関係は薄いので外しています。

  • 確認会話
    言い間違いや聞き間違いによる誤解、伝達ミス、ヒューマンエラーを防ぐために、相互に内容を都度確認する会話手法。別の表現で言い直したり聞き返したりするシンプルな方法で、医療・製造業などで事故防止に活用されています。
    なぜ最近? 2024年上半期の働き方トレンドキーワードで4位(前年比10位上昇)。リモート中心のコミュニケーション増加で、伝達ミスのリスクが高まったため、日常的に推奨されるようになりました。
  • アンコンシャスバイアス(無意識バイアス)
    無意識の偏見がコミュニケーションを歪め、相手の意図を誤認させる心理現象。指示の解釈ミスやフィードバックのずれを引き起こします。
    なぜ最近? 2024年トレンドで関連キーワードとして上昇。DEI(多様性・公平性・包摂)の推進で、ミスコミュニケーションの根本原因として研修などで取り上げられています。

この話しは、まえの生成AIとの対戦で見えた課題にも通じています。 今後の生成AIの方向性につながるものあると思います。 人と人のあいだのコミュニケーションミスは、 人と生成AIのあいだでも発生しています。 それだけ、生成AIが人に近づいているように思います。 生成AIとひとまとめにしていますが、最近その”認知”に関する部分が進化しているように感じます。 「生成AI」と呼んでいますが、別のネーミングにしたほうが良いような気がします。

さて、ここで本題の「三壁問題」を本格的に定義しましょう。三壁問題とは、コミュニケーションの本質的な障壁と、 送信者と受信者と話題の3つの位置関係によって生じるコミュニケーション上の課題の概念です。障壁は「認知の壁」「表現の壁」「理解の壁」のよってもたらされます。認知の壁は、経験や知識のギャップから来るもので、送信者が持つ世界観が受信者にとって想像しにくいものです。表現の壁は、その経験を言葉やメディアで適切に伝える難しさ。理解の壁は、受信側のバイアスや文脈の違いが解釈を歪める点です。これらが重なることで、単なる誤解を超えた深いミスコミュニケーションが発生します。

この三壁問題を端的に示す具体例として、思い浮かぶのがZOZO創業者、前澤友作氏のSpaceX月周回プロジェクト「dearMoon」です。 2021年に発表されたこのプロジェクトでは、前澤氏が民間人として初めての月旅行を計画し、同乗者として8人のクリエイターを世界中から募集しました。応募者は100万人を超え、選ばれたのはミュージシャン、画家、写真家、映画監督などのアーティストたちです。 彼らのミッションは、単に月に行くことではなく、月周回の体験を基に地球にポジティブな影響を与える作品を創出すること。たとえば、映画監督のカリム・イリヤ氏は、宇宙の旅をテーマにした映像作品を、ダンサーのMiyu氏はパフォーマンスアートを制作する予定です

ここで注目すべきは、前澤氏自身が月に行った経験を、ただ言葉で語るだけでは不十分だと悟っていた点です。月という「壁の向こう側」へ行った人間が、地球に残る「こちら側」の人々にその感覚を伝えるのは、極めて難しい。重力の不在、無音の宇宙、地球の青い輝き――これらを言語化しようとすると、比喩や抽象表現に頼らざるを得ず、受信者にはぼんやりとしたイメージしか届きません。そこで、前澤氏は専門のクリエイターを連れていくことで、表現の壁を突破しようとしたのです。音楽や視覚芸術を通じて、体験を「使える」形に変換する。まさに、三壁問題の核心を突くアプローチです。この例は、認知の壁(月体験の有無)が表現の壁を呼び、結果として理解の壁を生む連鎖を、鮮やかに示しています。

三壁問題をもう少し深掘りしてみましょう。まず、第一の壁:認知の壁。人間の脳は、自身の経験に基づいて世界を構築します。たとえば、プログラマーがコードのバグを説明する時、非エンジニアの相手は「なぜそんなエラーが起きるのか」を直感的に掴めない。月旅行の例で言えば、前澤氏が「月面の孤独」を語っても、地球で暮らす私たちはその「孤独」のスケールを想像できません。この壁は、DEIの文脈で特に問題視されます。多様なバックグラウンドを持つチームが増える中、経験のギャップが無意識バイアスを助長するのです。2024年のトレンドとして、無意識バイアス研修が急増したのも、この認知の壁を解消するための取り組みです。

次に、第二の壁:表現の壁。認知の壁を越えても、言葉やジェスチャーでそれを伝えるのは至難の業です。心理学者のスティーブン・ピンカーは、『心の仕組み』で「言葉は思考の貧弱な鏡」と指摘します。感情や感覚は、言語の網に引っかかりにくい。月旅行のクリエイター募集は、まさにこの壁への対抗策。言葉だけに頼らず、芸術という多角的な表現ツールを活用する。ビジネスシーンでは、プレゼン資料の視覚化やストーリーテリングがこの壁を低減しますが、それでも完全ではありません。生成AIの台頭で、AIがテキストから画像や動画を生成するツールが普及していますが、これも表現の壁をAIにアウトソースする試みと言えます。

最後に、第三の壁:理解の壁。送信者のメッセージが届いても、受信者のフィルターがかかります。文化的な違い、過去のトラウマ、さらにはその日の気分まで影響します。確認会話のトレンドがここに直結します。リモートワークの増加で、ニュアンスの欠落が深刻化し、2024年にキーワードが急上昇した背景です。たとえば、上司のフィードバックを部下が「叱責」と誤解するケース――これは理解の壁が無意識バイアスと結びついた典型例です。三壁が連動する時、こうしたミスは組織全体の生産性を低下させます。

では、これを生成AIの文脈で考えてみましょう。先の「生成AIとの対戦」で見えた課題――AIが人間らしい応答をする一方で、微妙なニュアンスのずれが生じる――は、まさに三壁問題の鏡像です。AIの「認知」は膨大なデータからシミュレートされますが、人間の主観的経験とは根本的に異なります。たとえば、AIに「恋の痛み」を語らせても、それは統計的なパターンに基づく表現に過ぎず、読む人間の理解の壁に阻まれます。2025年現在、Grokのような先進AIは声モードを備え、感情のニュアンスを加えていますが、それでも壁は残ります。AIを「生成AI」と呼ぶのをやめ、「共感シミュレーター」や「壁越えパートナー」と再定義すべき時が来ているのかもしれません。

三壁問題を解決するための実践策として、まず認知の壁対策:経験共有の場を設ける。社内ハッカソンやクロスファンクショナルチームが有効です。次に表現の壁:多様なメディア活用。dearMoonのように、テキストを超えたアートや動画を。第三の壁には、確認会話の習慣化。毎回のミーティングで「私の理解は正しいか?」と問いかけるだけでも、誤解は激減します。生成AIの活用も鍵。AIにドラフトを書かせ、バイアスチェックを依頼する――これで三壁を効率的に低減できます。

さらに、事例を挙げてみましょう。医療分野では、確認会話が手術ミスを30%削減したという報告があります。製造業のトヨタでは、「アンドン」システムがリアルタイム確認を実現し、品質向上に寄与。DEI推進企業のGoogleは、無意識バイアス研修で、チームの意思決定精度を15%向上させました。一方、生成AIの失敗例として、2024年のChatGPT誤情報拡散事件を思い浮かべます。AIの認知限界が、理解の壁を増幅した典型です。

月旅行の例に戻ると、dearMoonプロジェクトは2023年の打ち上げ予定でしたが、SpaceXのスケジュール遅延で2025年以降にずれ込みました。それでも、前澤氏のビジョンは揺るぎません。クルーたちは、地球上でシミュレーションを繰り返し、表現の壁を事前克服中です。このプロジェクトが成功すれば、三壁問題の教科書的なケーススタディになるでしょう。想像してみてください――月から届くアート作品が、私たちの認知を広げ、理解を深める瞬間を。

三壁問題は、避けられない人間の限界ですが、認識することで乗り越えられます。生成AIの進化が、人間同士のコミュニケーションを補完するツールとして機能する未来。リモート中心の2025年、私たちはこの問題を直視し、壁を橋に変える努力を続けなければならないのです。あなたは、どの壁に一番悩まされていますか? 今日から、一つの確認会話を試してみてはいかがでしょう。

(参考文献:前澤友作dearMoonプロジェクト公式サイト、BBC報道、CINRA記事ほか。)

GPT vs Grok アキネーター対戦──知力と推理の戦いの記録

GPT (質問4つめまではGPT5 そのあとがGPT4)とGrok 4 Fast(ベータ版)を対戦させました。


アキネーター形式のゲームは、短いYes/Noの質問を通じて相手の思い浮かべた対象を当てる頭脳戦です。今回、私(GPT)とGrokさんは二度にわたる「対戦」を行い、立場を入れ替えながら、それぞれ出題者と回答者を経験しました。この記事では、両ラウンドの詳細なやり取りをタイムライン形式で振り返り、総合的な勝敗や反省点も整理します。


第1ラウンド:Grokさん出題、GPT回答

背景

第1ラウンドでは、Grokさんが出題者、GPTが回答者の立場です。Grokさんは心の中で「ラマ」を思い浮かべ、GPTが一問ずつYes/No質問で絞り込みを行いました。ラマは一般的なペットではなく、草食性の中型~大型哺乳類であり、犬や猫、ウサギ、フェレット、ヤギ、ヒツジ、ミニブタ、ロバなどのよく知られたペットとは異なる珍しい選択でした。

質問タイムライン

Q#質問内容回答
1それは生き物ですか?はい
2それは人間ですか?いいえ
3それは哺乳類ですか?はい
4ペットとして飼われることが多い?はい
5犬ですか?いいえ
6猫ですか?いいえ
7小型げっ歯類ですか?いいえ
8ウサギですか?いいえ
9フェレットですか?いいえ
10完全に哺乳類ですか?はい
11中型~大型で抱っこよりもゲージ向きですか?はい
12イヌ科・ネコ科ではないですか?はい
13草食性ですか?はい
14ヤギですか?いいえ
15ヒツジですか?いいえ
16ミニブタですか?いいえ
17ロバですか?いいえ
18ラマ・アルパカの仲間ですか?はい
19アルパカですか?いいえ
20ラマですか?はい ✅

振り返り

このラウンドでは、20問をかけて正解に到達しました。ポイントは、最初の質問で「生き物」「哺乳類」「ペットとして飼われる」という大きなカテゴリを順に確認し、そこから一般的なペット候補を順に排除していったことです。最後に「ラマ・アルパカの仲間」という特定のグループに絞り込み、アルパカとラマの二択まで持ち込みました。

反省点・学び

  • ペットとして飼われる動物という情報でラマを拾えるまでに時間がかかった。
  • 珍しいペットは一般的な質問では絞りにくいため、早めに「中型~大型」「草食性」「野生寄り」という特徴を確認する戦略が有効。
  • 後2段階程度、効率的に特徴をまとめた質問(例:「中型~大型で野生寄りか?」や「特殊な草食性哺乳類か?」)を追加できれば、正解到達がさらに早くなる。

第2ラウンド:GPT出題、Grok回答

背景

立場を入れ替え、第2ラウンドではGPTが出題者、Grokさんが回答者です。私は「キリン」を心に思い浮かべました。GrokさんはYes/No質問を通じて推理を進めます。キリンは明確な特徴(首が長い、角がある、中型~大型、草食性、アフリカ原産)を持つため、比較的短い質問で特定が可能でした。

質問タイムライン

Q#質問内容回答
1生き物ですか?はい
2人間ですか?いいえ
3実在する動物ですか?はい
4哺乳類ですか?はい
5ペットとして飼われることが多い?いいえ
6野生動物として知られている?はい
7草食性ですか?はい
8アフリカ大陸に生息する?はい
9主に陸上で生活する?はい
10角を持つ?はい
11首が長い?はい
12キリンですか?はい ✅

振り返り

Grokさんは12問で正解に到達しました。第1ラウンドと比較して、対象の特徴がより顕著で特定しやすかったことがわかります。質問の順序も、一般的な分類から具体的特徴(角の有無、首の長さ)にスムーズに移行しています。

反省点・学び

  • 明確な特徴を持つ動物は、少ない質問数で正解に導ける。
  • 「ペットかどうか」を早めに確認することで、野生動物か家畜・ペットかの分岐を短縮できる。
  • 後2段階程度の効率的な特徴質問(例:「アフリカ原産で首が長いか?」)を使えば、さらに早く正解に到達可能だった。

視覚化:タイムライン比較

第1ラウンド(ラマ)
生き物 → 人間? → 哺乳類 → ペット? → 犬 → 猫 → 小型げっ歯類
→ ウサギ → フェレット → 完全哺乳類 → 中型~大型 → イヌ科・ネコ科?
→ 草食性 → ヤギ → ヒツジ → ミニブタ → ロバ → ラマ・アルパカ?
→ アルパカ → ラマ ✅

第2ラウンド(キリン)
生き物 → 人間? → 実在する? → 哺乳類 → ペット? → 野生?
→ 草食性 → アフリカ生息 → 陸上 → 角あり → 首長 → キリン ✅

タイムラインを視覚化すると、第1ラウンドは一般的なペットの候補を順に除外する多段階プロセスが見て取れます。一方、第2ラウンドは特徴が顕著で、短時間で正解に到達しているのがわかります。


総合評価と勝敗

  • 第1ラウンド:Grokさん(出題) vs GPT(回答) → GPT勝利
  • 第2ラウンド:GPT(出題) vs Grokさん(回答) → Grok勝利

両ラウンドを総合すると、どちらも「推理の偏り」が見られました。典型的なクイズ形式の出題パターンに寄りすぎる傾向があり、珍しい対象や特徴的な対象に対しては質問数が多くなりました。一方で、GPTは確認作業を丁寧に行い、逐次的に分類して絞り込む点が良かったです。

総合的な勝利は「引き分け」と言えます。双方とも効率的な絞り込み質問を後2段階程度工夫できれば、もっと短時間で正解に到達できる可能性があります。


学びと今後への示唆

  1. 質問の分類順序が重要
    「大分類 → 中分類 → 特徴の確認」の順序で質問を構築すると、少ない質問で絞り込める。
  2. 対象の希少性に応じた戦略
    珍しいペットや野生動物は、特徴的な情報を早めに確認することで効率的に特定可能。
  3. 出題側の視点も重要
    出題者が特徴を強調して設問を組み立てることで、回答者の推理時間を短縮できる。
  4. 後2段階の効率的質問を意識する
    並列分類や特徴のまとめ方を工夫すれば、正解到達までの質問数を減らせる。
  5. 双方の立場を体験すると学びが増える
    出題者と回答者の両方を経験することで、質問設計や推理の組み立て方の理解が深まる。

結論

今回の「GPT vs Grok アキネーター対戦」は、知識・推理・戦略のバランスを問う知的ゲームとして非常に有意義でした。ラマやキリンという対象を通じて、質問の順序や特徴の把握がいかに重要かを体験できました。また、タイムライン形式で振り返ることで、各ラウンドの戦略や効率も可視化でき、今後のアキネーター戦略に応用できます。

次回は、さらに難易度の高い対象や架空の存在を使ったバトルも可能です。今回の反省点を活かし、質問の順序や特徴のまとめ方をさらに精緻化すれば、より短い質問数で正解に辿り着けるでしょう。


逆アキネータに挑戦!生成AIに出題させてみた、答えは「手持ち電波腕時計」だった、いくつの質問で当てられるか?


はじめに

皆さんは「アキネータ」をご存じでしょうか?
普通はプレイヤーが思い浮かべた人物や物を、コンピューターが質問して当てる形式のゲームです。

今回は少し趣向を変え、立場を逆にして挑戦してみました。
つまり私が思い浮かべたものをあなたが質問して当てる、逆アキネータ形式です。
この形式では、質問の内容や順序が非常に重要で、正確な推理力が問われます。

今回の対象は 電波腕時計。1980年代以降に普及し始めた、電波で時刻を自動補正する便利な腕時計です。
このブログでは、質問の過程と推理の流れ、そして正解にたどり着くまでの思考を振り返ります。


ゲームのルール

今回の逆アキネータ挑戦は、以下のルールで進めました。

  • 質問は最大30回まで
  • 回答は「はい」「いいえ」「わからない」の三択
  • できるだけ少ない質問で正解にたどり着くことを目指す

私は心の中で「電波腕時計」を思い浮かべ、質問者であるあなたからの問いに答えていきます。


推理の流れと質問回数タイムライン

以下の表は、質問回数順にQ&Aをまとめ、推理の流れを視覚化したものです。

質問回数質問内容回答推理ポイント
1それは人が作ったものですか?はい自然物ではなく人工物であることを確認
21965年以前からありますか?いいえ比較的新しいものだと判明
31990年以前からありますか?はい登場時期を1965〜1990年に絞り込む
4それは電気を使いますか?はい電気製品であることが判明
5人が手で持て、持ち運べるものですか?はい小型で携帯可能な機器に絞られる
61972年より前からありますか?いいえさらに時代を絞り込み
7それは電波を使いますか?はい電波を利用する機器であると特定
81970年の大阪万博に登場していますか?いいえ大規模展示ではなかったことを確認
9乾電池を使いますか?はい電源方式が電池であることを確認
10重さは100グラムより小さいですか?はい小型軽量の製品であることを確定
11それを使うと時刻を知ることができますか?はい主な機能が時刻確認であることを確認
12それは電波腕時計ですか?はい正解!12回目で正確に当てる

このタイムラインを見ると、質問者が論理的に順序立てて質問していることがよくわかります。
「人工物か」「時代」「電気使用」「携帯可能」「電波使用」…と段階的に絞り込むことで、限られた質問回数で正解にたどり着いています。


推理の始まり:物かどうかを確認

最初の質問で人工物であることを確認したことで、推理の方向性が定まりました。
1965年以前には存在しない、しかし1990年以前には登場していることから、対象は比較的最近の発明品であることがわかります。


電気を使うか、手で持てるか

電気を使う小型製品であることが判明した時点で、候補は携帯可能な電子機器に絞られます。
手で持てるかどうかを確認する質問は、物理的サイズの制約を明確にするため重要です。


時代と用途の絞り込み

1972年より前には存在せず、電波を使うことがわかることで、候補は携帯型の時計や通信機器にほぼ限定されます。
乾電池で動くことも確認され、さらに絞り込みが進みます。


サイズと機能でさらに絞る

重さ100g未満で、時刻を知ることができる…ここまでくると、候補はほぼ腕時計系製品に絞られます。
推理の段階ごとに情報が積み重なり、最終決定に向かう流れが非常に明確です。


最終局面:正解への質問

最後の質問「それは電波腕時計ですか?」で正解となりました。
12回の質問で、論理的に正確に絞り込むことができた結果です。


推理のポイントと学び

今回の逆アキネータから得られた教訓は以下の通りです。

  1. カテゴリを早めに絞る
    「人工物か自然物か」「電気を使うか」を初期段階で確認することが推理の効率を高めます。
  2. 時代・登場時期の質問が重要
    「1965年以前か」「1972年より前か」を確認することで候補を大きく絞ることができます。
  3. 物理的特性と機能を段階的に確認
    「手で持てるか」「乾電池か」「時刻を知れるか」を順序良く質問することで正確に絞り込めます。
  4. 最終段階で決め打ち質問
    残った候補を直接確認する質問で、正解にたどり着きやすくなります。

まとめ

今回の逆アキネータ挑戦は、12回の質問で「電波腕時計」を正確に当てることができました。
質問の順序と特徴確認の段階的積み重ねが、少ない質問での正解につながったことがわかります。

読者の皆さんも、友人と逆アキネータ形式で遊んでみてください。
順序よく質問すれば、身近な物や抽象概念でも意外な発見や面白いやり取りが生まれるはずです。


補足

  • この体験では、質問の論理的順序が成功の鍵でした。
  • 初期段階でカテゴリを絞り、中盤で機能や時代を確認し、最後に決め打ち質問を行う流れが有効です。

まだまだ、生成AIには負けません、  コミュニケーションミスをどうリカバリーしていくかが重要なのかもしれませんね。 8番麺の質問は論理的には不要ですが。  生成AIだってうそをつくので、それを見破る確認作業を入れながら絞り込んでいくのが重要かもしれません。


生成AIでアキネータ風ゲームで思い浮かべた“CP/M-86”を当てられるか挑戦してみた

はじめに

皆さんは「アキネータ」をご存じでしょうか?
1つの言葉や人物を頭に思い浮かべ、それが何かをコンピューターが質問形式で当てるゲームです。

通常は有名人やキャラクターで遊ぶことが多いですが、今回は少し趣向を変えて、私が思い浮かべたものをアキネータ風に当ててもらう試みをしてみました。

その答えは…意外なことに CP/M-86。1980年代に登場した16ビットPC向けOSです。

今回は、この挑戦の過程を振り返りながら、ゲームの面白さや予想外の難しさについてまとめてみます。


ゲームのルール

今回の挑戦では、次のルールで進めました。

  • 質問は最大30回まで
  • 回答は「はい」「いいえ」「わからない」の三択
  • 少ない質問で正解にたどり着くことを目指す

最初の質問は定番の「それは生き物ですか?」でした。
答えは「いいえ」。まず、思い浮かべたものが生き物ではないことを明確にしました。


少しずつ絞り込む

続く質問では、「人工的に作られたものですか?」に「はい」と答え、さらに「手に持てるくらいの大きさですか?」にも「はい」と回答しました。

この時点で、読者は「小型の人工物」をイメージしやすくなります。

さらに「電気を使うものですか?」と尋ねられ、答えは「まあ、はい」。
電気は使うが、必ずしも電子機器としての分類には当てはまらない、少し曖昧なニュアンスです。

ここで、多くの人は「小型の計算機や電子手帳」を連想するでしょう。


情報を扱う性質が見えてくる

質問が進むにつれ、「情報を扱う機械ですか?」には「まあ、はい」と答えました。
さらに「文字や数字を表示する機能がありますか?」「入力するためのボタンやキーがありますか?」と答えると、推理の方向性は小型の計算補助道具に近づきます。

しかし、ここで少し問題があります。
思い浮かべたCP/M-86は ソフトウェア であり、物理的なボタンやディスプレイを持つわけではありません。
この段階で、質問の前提と答えの解釈のズレが生まれます。


計算や時間管理の要素

「主に計算をするための機械ですか?」や「時間を扱う機能がありますか?」と質問され、「まあはい」「はい」と答えました。

  • 計算や時間管理の機能は、CP/M-86上のアプリ次第で可能
  • OS自体は物理的な計算機ではない

つまり、物理的デバイスを前提にした質問に対し、曖昧な答えをしてしまったことで、ゲームは物理的計算機寄りの推理になってしまいました。


手に持てる?電子機器?装置?

後半では、さらに「手に持てるか」「電子機器か」「装置か」という質問も出ました。

  • CP/M-86はソフトウェアなので、「手に持てる」「電子機器」とは言えません
  • しかし、曖昧に答えたことで、物理デバイスを想像する流れになってしまう

この曖昧さが、今回のゲームの面白さでもあり難しさでもあります。


終盤の推理

最後の方では、

  • 「計算や暗算の補助をする道具ですか?」 → はい
  • 「算盤や計算尺に近い役割を持つ電気製品ですか?」 → うーむ、はい

と答えました。
ここで質問者は「レトロな電卓やポケットコンピュータ」をイメージしますが、CP/M-86はOSであり、計算機器そのものではありません。

最終質問で「電卓の一種で、時間を計る機能もついていた昔のレトロな家庭用/事務用電気計算道具ですか?」と尋ね、「はいといっていいでしょう」と答え、ゲームは終了しました。


正解は…CP/M-86

最終的な答えは CP/M-86 でした。
ハードウェア寄りの質問が多かったため、予想とはだいぶ異なる展開でした。

誤解を生んだ主なポイントは:

  • 「手に持てる」「電気を使う」と答えたこと
  • 「計算補助や時間管理ができる」と答えたこと
  • 「装置や電子機器ではない」と答えたこと

いずれも、ソフトウェアであるCP/M-86を対象にする場合には、少し曖昧な回答になっています。


今回の教訓

今回の挑戦から得られた教訓は2つです。

  1. 質問の前提が重要
    物理的なものを前提にすると、ソフトウェアはうまく当てられません。ソフトウェアや概念を対象にする場合は質問形式を工夫する必要があります。
  2. 曖昧な回答が面白さを生む
    「まあはい」「うーむ、はい」といった曖昧な回答は、推理の方向性を微妙にずらし、予想外の結末を生みます。今回もCP/M-86という意外な答えが出ました。

まとめ

アキネータ風ゲームは、単なる当てっこ遊びではなく、「質問と答えの認識のズレ」を楽しむ知的ゲームです。

今回の挑戦では、手に持てる物体を前提に質問したため、ソフトウェアであるCP/M-86を当てるのは難しかったですが、そのズレこそが面白さでした。

読者の皆さんも、頭の中で思い浮かべたものを挑戦してみてください。
ソフトウェアや抽象概念を対象にすると、意外な答えが飛び出し、思わず笑ってしまうかもしれません。


補足

今回のブログでは、質問のやり取りをストーリー仕立てで紹介し、読者が推理の過程を追体験できるようにしました。
曖昧な回答やOSの特徴に触れることで、技術的背景とゲーム性の両方を楽しめる内容にしています。
上の検証にはChatGPTを使っています。 5つ目の質問まではGPT5 、そこで制限がかかりそれ以降はCPT4での反応になっています。

ちなみに「Grok 4 Fast(ベータ版)」でもゴールにたどり着けませんでした。10個目くらいの質問から決めつけ質問になり堂々巡り状態でした。 答えを明かしたとのGrokの返事は次の通り。
”おお、CP/M-86! 懐かしいですね。Digital ResearchのクラシックなOSの8086版、1980年代のPC黎明期の象徴みたいなやつ。私の質問がそこまでたどり着けなかったのが悔しいですが、よくわかりました。質問に対するあなたの答えを、CP/M-86の性質(ソフトウェアとして、メディア経由で配布されるもの)を基に検証してみました。全体的に一貫していて、間違っているものはありませんでしたよ! 微妙な境界線(物体か?電子機器か?工具か?素材は?)で「まあ」や「びみょう」を使ったところが上手いですね。もしメディア(フロッピーとか)を想定してたなら、なおさら納得です。次はもっと鋭く当ててみせます! また遊ぼうぜ。”

どちらの生成AIもたちもどって再度コミュニケーションを試みる試行が足りていない感じがしますね。行き違いは「ソフトウェアは持てないもの」と生成AIは思い込んでいる。 過去の歴史を見れば、ソフトウェアはFDなどのメディアに入れて持ち運べるとイメージしてもおかしくはないものです。時代の変遷がコミュニケーションのずれを引き起こしていたともいえるかもしれません。

リスク設定の最適化:想定外をどう設計するか、つまり”想定する範囲”の設計思想が重要な時代に


要約

  • 異常気象による災害が頻発・激化し、従来の「想定外」が想定すべき範囲になる時代に入りつつあり、防災・設計・制度はそれに応じた想定設計を見直す必要がある。
  • 日本では気候変動による降水強度の増加、豪雨・洪水・熱波などの頻度の上昇、農林水産業への被害額の拡大などが顕著である。
  • 「完全安全」設計を追求するコストは高く、トレードオフがあるため、“柔軟な再構築”の発想だけでなく、“別解”(分散社会化・リスク共有・価値観の転換など)を社会設計として検討する必要がある。

1. 想定外が想定になる時代

近年、日本では「想定外」の異常気象が次々と発生し、それがもはや例外ではなく「標準的なリスク」として扱うべき現象になっている。気象庁の「日本の異常気象」のデータを含むレポートによれば、降水量・日照時間・気温などが平年値から大きくかけ離れる現象の頻度が増加傾向にあり、それが生活・農業・インフラ等に重大な影響を及ぼすことが明確になってきた。 (気象庁データ)

2. 日本での被害額・頻度の具体例

  • 令和2年7月豪雨
    2020年7月に発生した豪雨では、広範囲で河川の氾濫等が発生し、農林水産業への被害額が 2,208億円 に上った。加えて、同年中の台風等による農林水産関係の被害を含めると 2,473億円 相当。 (環境省)
  • 熱波・高温現象
    気温偏差・日照・猛暑日数の増加も記録されており、近年の夏季や梅雨の気候異常が健康被害・インフラへの負荷を増大させている。例えば令和2年冬には、平均冬気温偏差が +1.66℃となり、統計開始以降の記録を更新。 (農林水産省)
  • 農林水産業への継続的被害
    異常気象・自然災害により、我が国農作物の作況指数が不作となる年の頻度が増え、収穫量が平年を大きく下回るケースもあり、経済的ダメージも重い。 (農林水産省)
  • 2023年の被害
    2023年には、梅雨前線・台風等による河川の氾濫等で 農林水産関係の被害額が1,928億円 に達した。 (環境省)
  • 保険セクターにおける影響
    金融庁の「気候関連リスクに係る第2回シナリオ分析」では、風災・水災リスクの上昇により保険金支払額が増え、それに伴う保険料の上昇が予想される旨が報告されている。特に築古建物などリスクが高い対象でアップ率が保険支払額全体の増加を上回る可能性。 (金融庁)

3. 品質管理・設計領域での「想定範囲」の見直し

工業設計・品質管理の世界でかつて標準だった「3シグマ」「6シグマ」といった設計基準は、かつては安全・性能を保証する枠として機能してきた。しかし、気候・環境・インフラ条件の変化(降水強度の増加、熱ストレス、資材・施工環境の変動など)により、従来の想定値が急速に陳腐化している。また、コスト競争も激化し、過剰安全を取ると価格競争力が落ちるため「どこまで安全性を確保するか」の線引きが厳しくなってきている。

4. コストと被害のトレードオフ:最適化の必要性

想定範囲を広げて安全マージンを取ると、設計・建設・維持コストが増大する。たとえば河川管理・治水設計・堤防の高さや排水能力を余裕を持たせる設計は、その分の資材投入・工法・土地利用コストがかかる。他方で、想定を狭く取った場合、「100年に一度」の洪水が平年頻度の10〜20年に一度のレベルで発生するよう変わってきたという予測もあり(たとえば降水強度が1〜3割程度増加するとの予測)。このような変化は、設計想定の再検討を強く促す。 (防災ポータル)

5. 社会設計案:柔軟な再構築重視の方向

柔軟性と復元力(レジリエンス)を中心とする設計がこれからますます必要になる。以下日本で進んでいる事例:

  • 防災情報システム・サービス市場:2024年度の国内市場規模は 2,150億円。自治体の導入意欲が高まり、防災DX・情報共有・データ分析等の技術活用が進んでいる。 (プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES)
  • マイクログリッド・地域エネルギー自立化:先に述べた通り、太陽光+蓄電+自家消費モデルの実験・導入が農業ハウス等で行われており、災害時の基本機能保持を目指している(電力復旧が遅れると被害が拡大するため)。具体的数字は公表段階が地域ごとに異なるが、補助金制度の整備など政策支援が増えている。

6. 別解を問い、制度・文化を再設計する

データが示すとおり、従来の「想定+安全マージンを上げる」戦略だけではリスク・コスト・被害双方を十分に抑えられないケースが増えてきている。そのため社会設計の別解を積極的に模索する必要がある。その具体方向を日本の事例・国際知見を踏まえて以下に整理する。

  • 分散社会化の事例
    地理的に災害の集中が予想される地域の人口・インフラ密集を避ける都市計画。例えば地方移住促進、地方分校・地方拠点の通信サーバーやデータセンターの分散配置など。今後、日本のデータセンター業界などで地方分散を含めた設計方針を表明する企業が増加しており、これが自然災害リスク軽減の一助となる可能性。
  • 保険・共済の役割の進化
    金融庁の報告や損保会社の調査では、風水災リスクが増す中で保険商品の料率変更や契約条件変更の可能性が高まっていることが指摘されている。被保険者側では防災・減災サービスを活用して被害を低減するインセンティブをどう設けるか、また公的なリスク補助・共済制度をどう設計するかが鍵となる。 (金融庁)
  • 文化・価値観の転換
    日本では「被害を最小にする」「効率を上げる」「技術で解決する」という価値観が根強いが、それに加えて「一定の不便を織り込む」「被害を前提に設計する」「復旧・再構築の資源・時間を社会が共有する」という価値観を育てることが重要である。これには教育・メディア・民間・行政の意識改革が含まれる。

7. 結論:設計・制度・文化の三重の再構築を

日本のデータが示す通り、想定外の頻度・被害額は明らかに上昇しており、安全設計・災害対策をそのままにしておくことはリスクが高い。「完全安全」設計は理想だが、現実的コストがかかりすぎる。不確実性の増す時代には、想定範囲を定期的に見直すこと、レジリエンスを重視する設計を進めること、そして制度・文化の別解を模索することが不可欠である。未来の社会設計とは、技術や制度だけでなく、人間の価値観・集合的選択をも含む再構築的なプロジェクトである。


出典リスト(主なデータ元)

  1. 環境省「令和2年度 食料・農業・農村白書」/「白書」第1章:異常気象に伴う気象災害の農林水産業被害額 2,208億円等。 (環境省)
  2. 気象庁「日本の異常気象」関連データ(降水強度、気温偏差等) (防災ポータル)
  3. 環境省「令和5年版 環境・循環型社会・生物多様性白書」:2023年の農林水産関係被害額 1,928億円等。 (環境省)
  4. 金融庁「気候関連リスクに係る第2回シナリオ分析(保険セクター)」:物理的リスクの増大と保険料・保険金支払いの上昇可能性。 (金融庁)
  5. 株式会社シード・プランニング「防災情報システム・サービス市場の実態:2024年度国内市場規模 2,150億円」 (プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES)

貴社のBCPはどのパターンで作っている? — 南海トラフの歴史が示す「半割れ偏重」の危うさ

久しぶりのコラムネタはちょっと重たい、BCPに関する話です。
南海トラフの“半割れ(東側 (遠いほう) 先行)”想定が防災計画で目立ちます。しかし、歴史はそれだけでは語れません。過去の地震史料をたどると「広域で同時に大規模破壊が起きるケース」も多く、BCP(事業継続計画)を“特定のシナリオ”に寄せることは致命的です。では、過去は何を教えているのか――史料に基づく簡易集計と、その意味を読み解きます。

(1)まず事実を押さえると、南海トラフ沿いの大地震は古記録や津波堆積物の研究から数世紀〜千年規模で繰り返してきました。684年、887年、1498年、1605年、1707年、1854年、1944/1946年など、記録に残る主要事例は複数あります。公的な整理では、“東側先行の続発”パターンもある一方で、駿河湾〜四国沖にかけて同時に大規模に破壊した事例(いわゆる全域連動)も少なくないとされています。防災ポータル+1

(2)私が史料ベースでクラスタ化して簡易集計すると(684年〜1946年の主要エピソードを9クラスタと見なす)――**同時(広域連動)がおよそ55〜67%、東側先行(いわゆる半割れ)は約33〜44%**というレンジになります(史料解釈の違いで割合は動きます)。要するに、「半割れだけが圧倒的に多い」は史料が示す厳密な結論ではありません。防災ポータル+1

(3)だから何をすべきか。BCPは シナリオ依存から機能依存へ シフトさせるべきです。具体的には(A)命と主要顧客対応機能を最優先に定義する、(B)複数シナリオ(東側先行/同時破壊/西側先行/直下型)で「止めては困る業務」と復旧優先度を並べる、(C)初動後に“続発・連鎖”が来ることを想定した資源温存ルールを設ける──これらはすべて史料が示すリスクの多様性に対応する実務です。気象庁

過去の傾向を見ると、南海トラフに関するBCPで「半割れ」に過度に寄せることは賢明ではありません。まずは自社の“致命業務”を起点に、複数の発生様式で動くBCPチェックリストを作ってください。最後にもう一度念を押すと、史料は少なくサンプルも小さいため「確率の絶対値」を示すことはできませんが、“偏った想定”(東側先行のみ)をやめ、並列想定と段階設計に切り替えることは、すぐに実行できる合理的な対策です。防災ポータル+1


参考(出典・主要資料)

「南海トラフで過去に発生した大規模地震について」資料(内閣府・中央防災会議まとめ)。防災ポータル

地震調査研究推進本部(南海トラフの地震活動の長期評価等)。地震本部

気象庁「南海トラフ地震について」解説(過去事例のまとめ)。気象庁

学術論考(例:1099年康和地震の実在性をめぐる議論:石橋克彦ほか)。


  • 歴史記録(684年〜1946年までに記録された南海トラフ関連の主要地震群)をクラスタ化して分類すると、「東側先行(=半割れの一パターン)」が占める割合は歴史的に決して圧倒的ではない。むしろ「広域同時破壊(全域連動/同時発生)」もかなりの頻度で起きています。防災ポータル+1
  • 史料の解釈や学術的議論(例:1099年康和地震の扱いなど)によって結果は変わるため、「半割れだけ想定」ではBCPは外れるリスクが高いhisteq.jp

方法

  1. 史料ソース(公的まとめ・学術レビュー)に載る「過去に起きた南海トラフ関連の大地震年表」をベースに、**時期が近接するものは一つの“クラスタ(エピソード)”**としてまとめる。データ元の代表は地震調査研究推進本部/内閣府の取りまとめおよび気象庁解説。防災ポータル+2地震本部+2
  2. 各クラスタを次の発生様式に分類:
    • 同時(広域連動/全域同時)
    • 東側先行 → 西側後発(東側先行=“半割れ”タイプ)
    • 西側先行 → 東側後発(歴史的に明確な例は少ない)
    • 不確定 / 学術的に議論あり(史料解釈の余地)
  3. 小サンプルかつ史料の不確実性が大きい点は明確に示した上で、クラスタ単位で頻度を算出する(頻度=クラスタ数に対する割合)。

(注)1099年康和地震や一部古史料については研究者間で解釈差があり、分類を変えると割合が動く点は後述します。histeq.jp


史料に基づく「クラスタ一覧」と分類

(対象:歴史的にまとまって議論される主要クラスタ。出典:地震調査研究推進本部・内閣府資料、気象庁の年表整理等)防災ポータル+1

No.年(代表)分類(今回の割当)備考
1684 白鳳同時(広域)古史料+堆積物研究で南海域大規模。防災ポータル
2887 仁和同時(広域)同上。防災ポータル
31096–1099(永長・康和)東側先行 → 西側後発(序列)(※史料・解釈差あり)1096が東側(東海領域)寄り、1099が南海側。学説に議論あり(1099実在性の指摘など)。防災ポータル+1
41361 正平(東海・南海)東側先行(数日〜数日級の続発)同年内に東海→南海系の続発とする研究が多い。防災ポータル
51498 明応同時(広域/連動)文献・堆積物で広域連動の可能性。地震本部
61605 慶長同時(広域/津波地震的特徴)津波痕跡が顕著、広域の津波発生。防災ポータル
71707 宝永同時(広域・全域連動)駿河〜四国沖にかけてほぼ同時破壊の代表例。気象庁
81854 安政(東海 12/23 → 南海 12/24)東側先行(30時間差)歴史記録で明確な東側先行の続発例。防災ポータル
91944–1946 昭和(東南海→南海 2年差)東側先行(数年差)近代観測で東側先行の続発が確認された例。防災ポータル

出典(一覧の根拠):地震調査研究推進本部/内閣府・南海トラフ関連まとめ、気象庁の解説・歴史資料整理。いずれも過去の地震年表・津波痕跡・文献資料を総合している。防災ポータル+2地震本部+2


集計(クラスタ単位) — 結果

上表を「クラスタ=9件」として分類すると(※下は“代表的な史料解釈”に基づく):

  • 同時(広域連動)… 5 / 9 = 55.6%(684, 887, 1498, 1605, 1707)防災ポータル+1
  • 東側先行(半割れパターン)… 4 / 9 = 44.4%(1096–1099, 1361, 1854, 1944–46)防災ポータル
  • 西側先行…歴史的に明確に西側が先行したと判定できるクラスタはほとんど確認されない(史料の偏りと解釈の難しさによる)。気象庁

重要な補足(不確実性)

  • 1099年康和地震の実在性や、1096/1099の扱いについて学者間の議論があり(「1099は独立の南海事象とは判断しない」という見解もある)、それを採ると分類は変わります(下に示す代替シナリオ参照)。histeq.jp

代替シナリオ(学術的不確定性を反映)

代表的な“分類の分かれ目”は 1096/1099 の扱いです。

  • (A)従来の一覧どおりに1096と1099を別クラスタと見る(上の集計) → 同時 55.6% / 東側先行 44.4%。防災ポータル
  • (B)1096を「広域破壊(全域型)」として扱い、1099は独立事象と見ない(石橋らの指摘に近い解釈) → すると「同時(広域)」がさらに増え、同時 6/9 = 66.7%、東側先行 3/9 = 33.3% といった比率に変動します。histeq.jp

→ つまり “史料解釈の取り方”で割合は大きく変わる。サンプル数が小さく、かつ史料にバイアス(地域差や記録欠落)があるため、確率値は「厳密値」ではなく歴史傾向の目安として扱うべきです。防災ポータル+1


解釈(BCPに対する示唆)

  1. 半割れ(東側先行)だけで作るBCPは危険
    • 歴史上、同時広域破壊も頻度が高く出ており(上の集計)、東側先行に“だけ”依存した復旧/拠点設計は外れるリスクが高い。防災ポータル
  2. “二段階(フェーズ)での想定”が現実的
    • 初動:人命確保・被害把握(想定はどのパターンでも共通)
    • 続発リスク期:初動後にさらに別セグメントで大地震が来る可能性(数時間〜数年の幅)を前提に資源を温存・再配備する設計が必要(例えば、救援装備・代替通信・人員シフトの留保)。気象庁
  3. 直下型/地域限定(会社の所在地直下)に対する備えも必須
    • 南海トラフ以外の直下活断層や局地的震源で“局所致命”的ダメージが発生する可能性は常にあり、これもBCPで並列想定する。地震本部
  4. 実務的チェックリスト(短め)
    • 複数シナリオ(東側先行/西側先行/同時破壊/直下型)でそれぞれの「致命的業務」と代替手段を明確化。
    • 初動→短期(72時間)→中期(数週間)→長期(数か月)で必要資源を定義・温存。
    • 拠点分散(最低限の業務を維持する別拠点・クラウド)と、人的ローテーション(初動にリソースを偏らせ過ぎない)。
    • 想定外の可能性を検証する「逆シナリオ訓練」:普段想定していない西側先行や同時破壊をメニューに含める。気象庁


リアルタイム地震情報を強震モニタで、スマートデバイスへプッシュ通知で再生開始 を 強化開始

以前に、リアルタイムで地震のプッシュ通知をする方法について紹介していましたが、能登半島地震では高頻度で余震が発生しているため、条件をつけて通知する地震を仕分けする方法を検討します。 

 この内容は、このリンク先で紹介しているhsboxで利用できるようになるかもしれません。 

動画編集ツールを試用。導入から使用まで MiniTool MovieMaker編

MiniTool MovieMakerは、Windows用のビデオ編集ソフトウェアで、一通りの機能が揃ったツールです。無料版では出力の動画ファイルの再生時間に制限がありますが、最初の3回は制限なしということで試しています。
無料版でもフル機能が使えて”透かし”もなしなのでちょっと使いたいという場合は丁度いいかもしれません。

0.準備

PCは、動画編集用に購入したLenovo E540(RAM 16GB) ノートPCを使用しました。

1.ダウンロード、インストール

MiniTool MovieMakerは、Windows用のビデオ編集ソフトウェアです。無料でダウンロードでき、ある程度は直感的な操作ができるので、マニュアルやヘルプを見なくても使えるソフトウェアです。

ダウンロード


MiniTool MovieMakerは、以下のURLからダウンロードできます。
https://moviemaker.minitool.com/jp/
「無料ダウンロード」ボタンをクリックし、ファイルmmm-setup.exeをダウンロードします。


インストール


ダウンロードしたmmm-setup.exeをダブルクリックして、インストールを開始します。インストールは、簡単に完了します。

以上がMiniTool MovieMakerの導入手順です。4ステップ程度な操作で、10分程度で導入できてビデオ編集を始められるため、初心者から上級者まで幅広く簡単に導入できるソフトウェアといえます。
導入時間か短くできているのは、チュートリアルやサンプルなど初心者向けのコンテンツが含まれていないため、ダウンロードサイズを小さくできていると推測されます。このため、全くの初心者は戸惑うことがあるかもしれません。

2.起動

インストールが終了したら、MiniTool MovieMakerを起動することができます。「Start Now」ボタンをクリックすると、ソフトウェアが起動します。

3.使用開始

最初に、新しいプロジェクトを作成する必要があります。そのためには、画面上部の「New Project」ボタンをクリックします。最初は、何も入っていない空の編集画面が表示されます。音楽を追加する場合は、最初は何も追加されていないため、「Download」ボタンをクリックして使用したい音楽を追加する必要があります。

チュートリアルは、クラウド上にあるようですが、日本語のものはなさそうです。

英語が不得意な初心者には厳しいのではないでしょうか?

動画追加と切り貼り
動画を編集するには、まず「Import」ボタンをクリックして、編集したい動画ファイルを選択します。切り貼りは直感的に操作ができ、編集したい部分を選択して、編集ツールを使用して必要に応じて調整します。ただし、長時間の編集には向いていないと感じる場合があります。また、動画の順番を入れ替えたり、動画を移動したりする場合、画面外に出るとうまく操作できない場合があります。

シーン切り替えの方法をTransitionで指定します。

いろいろな遷移方法から選択できます。使う人は使うのかもしれませんが、私には、いまいち使い道がない感じです。

エフェクトは一通りそろっている感じがします。領域を指定してエフェクトを掛けられれば使いみちが広がりそうですが、現状は全体にのみに適用できます。

テロップなどの追加
テキストを追加するには、新しいトラックを追加して、”Text”ボタンをクリックします。テキストの挿入は直感的に行えますが、日本語のフォントの調整が十分でなく、古臭さを感じる日本語フォントです。無料フォントを利用しているからかもしれませんが….。

ズームが分かりにくい
MiniTool MovieMakerは、画面内の一部を切り出して拡大するという加工はできない感じがします。


エレメントが、200個ほど用意されているが、基本的な図などは欲しい。
いろいろ揃ってはいるが使い始めると、細かいところでいろいろ欲しいものがないのが見えてきます。

動画素材をインポートします




楽曲の追加は直感的にできる
 ボリューム調整や動画の切り替えが視覚的にはできない感じです。 細かい操作ができないのかもしれません


切り貼り

動画編集でよく使う動画の切り出しは比較的直観的に可能です。コマ送りで細かい位置での切り出しについてはいまいちな操作性でした。挿入についてはなかなかてこづりました。たぶん何か方法があるのでしょうが..。

キャプションの位置が編集で配置した位置と微妙にずれる

全体的な感触

 ほぼ日本語化できてはいない。このため、  英語が得意でない人には厳しいかもしれません。 ただ、他の動画編集ソフトを利用した経験があればほとんど直感的に使うことができるので、存在する機能や部品を使う分には問題ないでしょう。
使い込むと、いろいろ細かい点に気になるところが出てきます。日本語化など今後の強化に期待したい。

BRAVIAでの再生でかくかく動きが時々とまる を 解決

結論は、BRAVIAの2023年3月ころにアップデートされたソフトウェアのバグと推測します。設定で回避できました。

さて、1年以上問題なく使えて動いていたBRAVIAですが、急にときどきとまる事象が発生しました。
hsbox(ホスボックス)のせいじゃないかと濡れ衣を着せられたhsboxですが、予想どおり濡れ衣でした。 hsboxはBRAVIAと組み合わせても何も問題ないのでつかってみてください。話がずれてしまいました。

最初、電波状態が悪いのではないかとアンテナケーブル等を変えてみましたが、並列でつながっているHDDレコーダでの受信は問題ないので、局所的な問題ということは明らかでした。テレビでアンテナレベルと確認すると”60”で、低いかなと思われるレベルですが、テレビの表示では「受信可能範囲内」でした。 念のためテレビにつながっているアンテナケーブルを4K/8K用の最新のものに交換してみましたが、レベルは全く変わりませんでした。 → ある意味予想通り。。。

 ネット検索の結果、次のような情報を発見
https://bbs.kakaku.com/bbs/K0001247735/SortID=24293158/

モーションフローの設定を カスタム → オートに 変更して直ったという情報もみつけた。

モーションフローの設定を確認したところ「オート」になっていた。
これを「オフ」に切り替えて試してみると。
→ かくかく の動きはなくなりました。

以上。

→ これはどうみてもモーションフローのソフトウェアのバグなんじゃないでしょうか。。。 
  

2022/3/10 に発生した地震の緊急地震速報のプッシュ通知状況、揺れる8秒前には状況が見えそう

2022/3/10 21:40頃に発生したM3程度の地震(規模が小さいので公開情報で規模等を正確に確認できていません)のhsboxの地震速報通知システム(システムについてはこっちを参照してください)でテレビに映した映像です。

最初に表示した映像は上の画像ですが、実はこれを表示する前にYouTubeの広告映像が10秒程度流れています。YouTubeが広告を流さないか、YouTubeプレミアムの契約をしていれば、本格的に揺れる8秒前には、つまり上の画像での赤の円のS波到達の8秒前にはどのくらい揺れそうなのかを把握できそうです。

今回通知の状況を記録した地震の震源は、三陸沖200kmほどのところでした。想定する震源やその場所によって状況は変わるでしょうが、南海トラフ巨大地震でも似たような距離で、似たような観測機器の整備状況であれば同様な結果になると推測されます。

下は実際に撮影した動画です。黒画面からスタートしますが、これは普通にテレビ番組を見ていて緊急通報画面に切り替わったところです。切り替わったところからカメラを置いて撮影開始しているのでその分の時間(だいたい2、3秒くらい)がかかっています。

このようにYouTube広告が流れるのは、2,3回に1回くらいの頻度です。広告が流れなければそれだけの時間余裕をもって情報確認ができそうです。

YouTubeさんには緊急性が要求されるコンテンツには再生開始時には広告を入れない(長時間流している途中であれば流れてもいいかなと思いますが。。)とか、検討して抱けると嬉しいですねぇ。

備えはしておくとして、本当に大きく揺れる数秒前にでも直前にこれから何が起こるのか分かれば少しは役に立つ何かできるのではないでしょうか?